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1日からでも参加できる棚田でのコメ作り

都会に住みながら、休日に田んぼで農作業をする人々が急増しているという。現在、コメ農家の高齢化とコメ価格の低下で耕作放棄地が続出、田んぼは荒廃する一方だ。そんな農村の窮状を救うのが都会の「田植え男子」なのだ!

1日からでも参加できる棚田でのコメ作り

 最初から「マイ田んぼ」を持つのは敷居が高い……という人々でも、気楽に農業体験ができるプログラムがある。東京から高速バスで約2時間、千葉県鴨川市にある多目的農園「鴨川自然王国」では、日帰りや1泊2日で、棚田の農作業を体験できる「棚田チャレンジ」を主催している。田植え、そして草取り、稲刈りまでの農作業に1回だけ参加することも可能で、作業に多く参加した人が多く分け前をもらえるという仕組み。

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「棚田チャレンジ」は1泊2日宿泊費込みで1万円。田植えと稲刈りの回は東京からバスツアーも出ていて、1泊2日で1万5000円

 この日参加した「田植え男子」は、IT関連の会社に勤めている西賢治さんと、バイオテクノロジー関連の機材販売会社に勤める池田裕二さん。2人は、今年の環境イベント「アースデイ」でこのプログラムを知ったのだという。

 この日の作業は田んぼの草取り。田んぼ用の長靴もあるが、皆あえて裸足で田んぼに入っていく。「田んぼの泥がけっこう気持ちいいんですよ」と鴨川自然王国理事の林良樹さんは語る。この田んぼでは、環境や食の安全を重視して、除草剤は使用しない。男女でペアを組み、「田車」と呼ばれる手押しの草刈り機と手で雑草を抜いていく。抜いた草は田んぼの外に投げ捨てるか、田んぼの泥の中に埋める。「これはメタボ対策になりますね」と西さん。田車を押すのは意外に力がいるのだ。一方、昆虫好きな池田さんはどんな虫がいるかが田んぼでの作業の楽しみの一つらしい。

「農薬を使っていないから、いろいろな生き物がいます。都内では絶滅してしまったゲンゴロウの幼虫もいるんですよ。今後、もし機会があれば学生時代に実験していた、除草剤の代わりにカブトエビを使う農法も試してみたい」

「一人で黙々と草取りするのは大変ですが、皆で作業すると楽しいですし、早いですね」と林さん。

 作業の後は、のどかな田園風景を眺めながらビールを飲む。

「農作業の何がいいかって、体を動かした後の酒や飯がうまい」と西さんも上機嫌だ。

「先日は土日に泊まりで来たんですが、夜はホタルが飛んでいて、それを眺めながらビール。すごく贅沢な感じでした」(池田さん)

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農作業の後は、参加者で宴会。「体を動かした後に、自然の中で食事するって、どんな高級レストランに行くよりおいしいですよ」(西さん)

農村でのコメ作りを新しい観光の形に

「今度は、午前中から昼にかけて農作業、その後に海に出てサーフィンしようか?」と林さんが2人を誘った。

「楽しい、おいしい、嬉しいというのがキーワード」と言う林さんは、このプロジェクトの目的をこう説明する。

「農業は汚い・貧しい・辛いというこれまでのイメージを変えていきたい。この一帯は、伝統的な棚田が維持され、今も雨水だけで小規模なコメ作りをやっている地域なんですが、これまで政府や農協が進めてきた米国型の機械化・大規模化の流れの中では『お荷物』として見捨てられ、耕作放棄地がどんどん増えています。そこで、小規模で作業効率が悪いという部分を逆手に取ったんです。あえて多くの人々が関わることで、都会の現代人が失っている共同作業の一体感、お祭り的な面白さを味わってもらう。レジャーとしてのコメ作りというのは、新しい観光の形じゃないかと思います。農村にとっても、都会から若い人たちが来てくれたら、伝統的な農法や文化を維持できる」

 鴨川自然王国の一帯も、65歳以上が人口の半分を超えるという「限界集落」の典型的な状況だ。

「そこに若者がいるというだけで限界集落が希望集落に変わっていくのです。一人でも多くの人々が来てくれるよう、敷居をどんどん下げていきたいですね」(林さん)

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「最新の研究に携わる仕事は楽しいけど、農業の現場にも行ってみたかった」と語る池田さん

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「ベランダで野菜の栽培も始めました。ここで作業を覚えて、マイ田んぼに挑戦したい」(西さん)

【棚田チャレンジ】http://www.tanemaki.jp/45

【農業イベント】
8月28・29日「茶畑農コン@藤枝」(静岡県)
9月25日「稲刈り@渡良瀬エコビレッジ」(栃木県)
10月2日「稲刈り@森の暮らしの郷八ヶ岳」(山梨県)
問:リボーン http://reborn-japan.com/domestic/1915
eco-tourism@reborn-japan.com

― 都会の[田植え男子]の主張【3】 ―




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