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【南米化する東京】思わぬ場所に大型怪魚捕獲ポイントが

多摩川を棲み処にする巨大怪魚を捕獲せよ!(前編) 思わぬ場所に大型怪魚捕獲ポイントが  めげずに聞き込みを続ける。比較的若い釣り人からは「ここより下流に生活排水が大量に流れ込む場所があり、そこは水温が高く、外来魚などが溜まっている可能性がある」との有力情報が。  教えられたポイントはとある橋の近く。その河川敷は野球やゴルフ練習で賑わっており、静かに釣り糸を垂れるには程遠い雰囲気だ。  しかしよく見るとコンクリートで護岸され、一部が鉄の柵で覆われた川岸には大勢の人がいる。 バーベキュー場かと思い近づくと50人を超える人が釣り竿を振っていた。ごうごうと音が聞こえる先には生活排水が勢いよく多摩川へと流れ込んでいる排水溝があり、風呂のような生暖かく、洗剤臭い空気が充満している。温度差が顕著なためか、水面がはっきりと2色に分かれている。そこに人が殺到し、排水溝を覗き込むように釣り糸を垂れていた。 「ボラを狙っている」という中年男性に話を聞くと、この場所はプランクトンが湧き栄養が豊富なのだとか。それをエサにする小魚が集まり、さらに捕食する大型の魚も集まってくる。ここは「食物連鎖」の縮図のようなところなのだ。  また別の釣り人は、「堰を遡上するアユを捕食しようと大型の外来魚が密集している」とも。だから、この一帯はブラックバスなどを狙ってルアーフィッシングをする人が集まる場所なのだとか。その証拠に橋脚のコンクリート壁には釣果の証拠写真がベタベタと貼られていた。60cmを超えるナマズやブラックバス、80cmクラスのソウギョ、ストライパー、ガーパイク、1m近いライギョやカメ。外来魚のデパートだ。獲物を手に誇らしげに微笑む釣り人。日付からここ数か月で相当数が水揚げされていることがわかる。  さっそく釣り糸を垂れる。ルアーを得意とするYは堰のほうで意気揚々とリールを手繰っている。  その瞬間「わぁっ!」という歓声が。なんと現れたのは巨大な魚だった。やった! ついにゲット! と思ったのもつかの間、釣り上げたのはYの近くでリールを手繰っていた釣り人だった。ビチビチと暴れるそれはカムルチーという台湾原産の肉食熱帯魚で体長は70cmという大物。パクパクと開く口からは鋭い歯が覗き、古代魚を彷彿とさせる模様が不気味だ。  ついに姿を現した「怪魚」。自ら釣り上げることはできなかったが、この目で見ると相当なインパクトがある。このクラスの魚が下流域で多数棲息していると思うと、釣り人のロマンに身を熱くするどころか、背中に何か寒いものを感じてしまった……。
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多摩川に注ぐ排水溝からは勢いよく生活排水が流れ込む。 温度計を差し込むと本流より2度ほど高く、そこには小魚が多数群れていた
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翌日も同じ現場に行くと、やはり早朝から多くの釣り人でごった返しており、70cmを超える大物も釣れていた ― 南米化する東京 タマゾン川の怪魚を追え!【2】 ―
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