世論は「よろん」か「せろん」かを世論調査したら…
―[実は読めてない![うろ覚え漢字]]―
パッと漢字を見たとき、「あれ、どっちが正解だっけ?」と迷うことは、ときどきあるもの。例えば、「世論」は本誌が独自にアンケート(対象:ネット調査/18~45歳.男女100人+街頭アンケート)を行ったところ、「よろん」派が75.4%と多数だった。が、もとは「せいろん」「せろん」が正しい読みで、「よろん」は「輿論」だったという。当用漢字表の公布後、「輿」の漢字がなかったことから、「輿論」が「世論」に書き換えられ、「世論」が「よろん」と誤読され、一般化したとされている。現在ではどちらも使われている。
また、「依存」「依存症」はかつて「いぞん」「いぞんしょう」と言っていた気がするのが、テレビのアナウンスなどでよく耳にするのは「いそん」「いそんしょう」だ。アンケートでは「いぞん」と回答した人が89.8%と圧倒的多数だが、辞書などでは「いそん【依存】(イゾンとも)他のものをたよりとして存在すること」とされていることが多く、こちらも現在はどちらも正解なのだ。
さらに、「重複」は「ちょうふく」(70.3%)、「じゅうふく」(28.8%)といずれも正解。
また、「文言」は、「もんごん」が78%で、「ぶんげん」は14.4%(ほか「もんく」「ぶんごん」などの誤読あり)に。これは、文章中の語句、文句、言葉として一般的に使われるのは「もんごん」だが、「ぶんげん」も中国語の文章において用いる読み方なのだ。
ほかに、現在はどちらの読みも使用されているものには、「肉汁(にくじゅう、にくじる)」「農作物(のうさくもつ、のうさくぶつ)」「独擅場(どくせんじょう、どくだんじょう)」「続柄(つづきがら、ぞくがら)」「早急(さっきゅう、そうきゅう)」「読本(とくほん、どくほん)」「施行(しこう、せこう)」「あり得る(ありうる、ありえる)」「斜に構える(はすにかまえる、しゃにかまえる)」「貼付(ちょうふ、てんぷ)」「分泌(ぶんぴつ、ぶんぴ)」などがある。
地名でいうと、「山手線」は「やまのてせん」だが、これは途中で読み方が変わった経緯から、親などちょっと上の世代には、「やまてせん」と読む人が多い。同じく「秋葉原」も現在は「あきはばら」が主流になっているが、かつては「あきばのはら」だったことから、これも高齢者には「あきばはら」と読む人も。
ちなみに、読み方が違うと別の意味になってしまう言葉もある。例えば、「競売」は、「きょうばい」が一般用語で、「けいばい」は法律用語。「嚥下」は医療用語では「えんげ」だが、一般的には「えんか」が多い。ただし、間違えてはいけないのは、「分別」。「物事のふんべつがつく」と、「ゴミのぶんべつ」とをごっちゃにすると赤っ恥なので、要注意だ!
【ちなみに…】
団塊=だんこん (26歳・OL)
正しくは「だんかい」。以前、ニュース番組で女子アナが「団塊世代」を「だんこんせだい」と読んだこともある。わざとか?
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