雑学

うんこの次は怪談…進化する「漢字ドリル」

 漢字、カタカナ、ひらがな。日本語ほど複雑な言語は世界でも稀だと言われている。特に漢字の読み書きは日常生活で使用している我々日本人でさえ、勉強するのが嫌いだったという人も多いことだろう。

 とはいえ、日本語表現に欠かせない漢字。子どもたちが本格的に学び始めるのは小学1年生になってからだが、漢字ドリルを開けども一向に勉強がはかどらず、まるで苦行のような思い出をもっている人も多いはずだ。自分自身はもちろん、子どもに漢字を覚えさせようと思ってもうまくいかない人がほとんどではないか。

 だが、昨年そんな常識を覆すように大ヒットを記録した『うんこ漢字ドリル』(文響社)。口に出すのは憚られるが、クスリと笑ってしまうような……。子どもたちは、そんな言葉が大好きなのである。今年はその続編も発売されているので、今後は漢字の新しい勉強方法がトレンドになるのだろうか。

漢字

うんこの次は怪談……!?


 そんななか、怪談・オカルト研究家として知られる吉田悠軌氏が書き下ろした一行怪談を例文に使用した『一行怪談漢字ドリル 小学1・2年生』(幻冬舎)という本が出たらしい。うんこに負けず、怪談も子どもたちが好きなネタの代表といえるだろう。コワいのに、なぜか続きが知りたくなる怪談。

 今回は、同書のなかからいくつか例文を紹介しよう。小学生の頃、理科室の人体模型にまつわる噂にびびっていたという人も多いのではないか。

<(りか)室のおくには ボクそっくりの人(たい)もけいがおかれていて、ときどきボクに「かわって」とささやいてくる>

※実際は()内のひらがな部分を漢字で書き取り。以下同

 理科室をはじめ、トイレやプールなど……。とにかく学校内は謎だらけだった。夜になると、自分たちの知らない何かが起こっているのではないか。そんな想像をかきたてるような一文。

<夜の学(こう)には、ボクたちにそっくりな(ひと)たちがこっそり通っているそうだ>

P12-13

出典:『一行怪談漢字ドリル 小学1・2年生』(幻冬舎)

 だれもがいろんな話を耳にした経験があるだろうが、同書では本気でコワいものからユーモラスなものまで。不気味な情景が思い浮かんでくる。

<いつからか、ボクらの(きょうしつ)の上を、大きな人食い(どり)がゆっくりとび回るようになった>

<その(とり)の(はね)にはどくがあって近よれないので、みんなだまってじゅぎょうをつづけるしかない>

<今日も大きな(とり)は、クラスのだれをつれさるか(かんが)えながら、ボクらの上をとび回っている>

P72-73

出典:『一行怪談漢字ドリル 小学1・2年生』(幻冬舎)

 書き取りの練習にはもちろんだが、文章を読むだけでも楽しめそうだ。著者の吉田氏は、同書の見所にかんしてこう話す。

「まず私が提唱している『一行怪談』は、一つの文だけで成立させる怖い話のことです。一文小説(One-Sentence Novel)という文学ジャンルがあるのですが、その怪談限定バージョンですね。そして『漢字』というのは一文字の中に様々な要素がからみあっている言語表現なので、短く凝縮された『一行怪談』と相性がよいのではないかと考えました。一つの漢字から多くの意味や関係性が想像・連想できるように、例文一つ一つも一回解いて終わりではなく、様々な解釈で読み直してもらえると嬉しいです。

 また今回の怪談をつくるにあたっては、問題用の漢字から発想を広げていくようにしました。私と同じように『この漢字からはどういう不思議な文章が想像できるかな?』と考えることは、その漢字についての広く深い理解を助けてくれると思います。この本を参考に、子どもたちが(大人たちも)漢字をお題にした『一行怪談』をつくってみるといいかもしれません」
 
 そんなユニークな漢字ドリルだが、文部科学省の学習指導要領に基づいており、小学1・2年生で習う全240字が網羅されている。

 小学校低学年のうちから漢字の基礎を築いておきたいところだが、たとえ勉強が嫌いでも、吉田氏ならではのストーリーをきっかけに子どもたちも「漢字を覚えてみようかな」と思うかもしれない。

 ちなみに、同書の冒頭にはこう書かれている。

<この本は、いくつも書かれた一行怪談の、ところどころぬけている字をすべてうめないと、書かれていることが本当になってしまうドリルです>

 迫り来るバケモノたち。そんなことを言われては、もはや机から離れられないかも!?<取材・文/藤井敦年>

一行怪談漢字ドリル 小学1・2年生

全例文が一文完結の怪談に!? ぞぞっと想像力を刺激する、怪談×漢字の新感覚ドリル! キミはこの漢字ドリルを、無事に終えることができるか……!?





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