R-30

[貧困スパイラル]18歳から約20年間、路上と刑務所で生活

一度落ちたら抜け出せない貧困スパイラルにはまった若者たちを直撃!

◆18歳から約20年間、路上と刑務所で生活

 知的障害を持つ遠野健二さん(仮名・37歳)の経験は過酷だ。

 18歳から両親と音信不通。家を出てからは「仕事は土木工事。大宮の手配師に紹介してもらっていました。ほとんどは公園で野宿生活でした」と話す。職場に寮があったわずかな時期を除いて、約20年間、屋根の下で寝たことはほとんどない。

 バブルの時期は建築現場で一日1万5000円は稼ぐことができたが、30歳を超えたあたりからドヤでは仕事が見つからなくなった。その後、腹が減り弁当を盗んだため警察に捕まり、執行猶予付き6か月の判決を受けた。

「30歳のときに窃盗で捕まりました。その後、執行猶予中におにぎりを盗んだので1年2か月の実刑で函館の刑務所に入りました。刑務所は怖かったです。よく(刑務官に)怒られました」

 出所時に持っていた現金はわずか1万円だった。刑を終えて出てきても行き場があるわけではない。公園以外に行く場所はなかった。

 その後は腹が減っては食べ物を盗んで刑務所に放り込まれる生活を送ってきた。出所して1か月もたたずに逮捕されることがほとんどだった。その後、府中刑務所で2回、前橋刑務所で1回服役した。

 遠野さんは明らかに知的障害を持っているが、障害者手帳は持っていない。刑務所でも、障害者として扱われることはなかった。過酷な生活で体もボロボロになり、ひどい糖尿病と鼻炎を患っている。出所した今年6月、国選弁護人にホームレス支援NPO「ほっとポット」を紹介された。今は生活保護を受け、障害者手帳も取得。同団体のケースワーカーはこう話す。

「障害者認定は子供の頃に取っておかないと、後で取得するのは困難。手続きも非常に複雑です」

 障害者手帳があれば各種福祉サービスを受けられ、生活保護費にも障害者加算が上乗せされる。

 遠野さんはこう話す。

「もう万引はしません。家と食べ物があれば必要ない。鍵の閉められる部屋に住めて安心です」

 実は、彼のように知的障害を持っていながら認定されずに路上で暮らしているホームレスは多い。彼らは腹が減っては食べ物を盗むことを繰り返している。しかし、彼らを保護するような制度はない。

「いつか両親に会って、ホームレスとして暮らしていた親不孝を詫びたい。手帳を頂いたことで、障害者向けの仕事も役所で紹介してもらえます。お金をためてそのうち自分でアパートを借りたいです」

101228_BK2_08.jpg

これまで生活保護の存在も知らず、テレビも見たことがなかったという遠野さん。
「テレビを見て、AKB48のファンになりました」


― 20~30代ホームレスが落ちた[貧困アリ地獄] 【4】 ―




おすすめ記事