生かさず殺さず搾り取る“貧困ビジネス”
一度落ちたら抜け出せない貧困スパイラルにはまった若者たちを直撃!
◆生かさず殺さず搾り取る”貧困ビジネス”
生活保護を受けられるようになったものの、役所の窓口で勧められた施設に入ると、今度は「貧困ビジネス」が待ち受けていた。
そこでは施設側に生活保護費の管理も委託することになっていた。
しかしそのほとんどは寮費や食費、管理費として搾り取られ、手元にはわずかなカネしか残らない。
住宅の家賃は、ベニヤ板で仕切られた2畳ほどの個室で5万3700円。そのほか食費や光熱費などで5万円以上が引かれるのだ。手元に残るのはわずか7000円ほど。行政は「家賃は法律で定める上限を超えていないため違法ではない」と説明している。
「このままじゃ施設から一生出られない」。五味川さんは辛抱できずに再び路上へ飛び出した。
行政がホームレス対策としてつくった「自立支援センター」に入るという道もあったが、「多くの人が再び路上に戻ってくる」と聞いていたため入所しなかった。
実際、東京都の場合2か月の入所期間中に仕事を見つけないと「意欲がない」とみなされ追い出される。仕事が見つかった人も、短期雇用ですぐクビになったり、コミュニケーションの困難でトラブルを起こしたりで、結局8割以上が路上に逆戻りしているという。
「何とか貧困から抜け出したい」。その熱意もあって、五味川さんは知り合いから飲食店の職を紹介される。ホールスタッフとして毎日マジメに働き、順調に生活を立て直し始めたように見えた。
そう思っていた矢先、その飲食店が風適法違反の疑いで警視庁に摘発されてしまう。研修期間中だった五味川さんはほとんど給料も貰うことなく、再び路上へ戻ることを余儀なくされた。
「このときばかりはもう、自分の人生に呆れました」(五味川さん)
しかしそれでも諦めずに、今度は牛乳の営業の仕事に就くなど、できる限りの努力をしたが、路上からはなかなか抜け出せなかった。
そんなある日、五味川さんの勤勉さを知る知人が古紙回収の仕事を紹介、正社員として雇われることに。同時に、民間の支援団体に保証人になってもらい、アパートを借りることもできた。
わずかな給料でやりくりしているため、現在はアパートのガスも電気も止められてしまった。なかなか生活は落ち着かないが、何とか貧困のスパイラルから抜けようと五味川さんはもがいている。
路上生活からアパートへ。五味川さんの部屋(左)の電気プラグは、気づかない
うちに抜かれていた(右)。薄給では、家賃以外の雑費を払う余裕もない
― 20~30代ホームレスが落ちた[貧困アリ地獄] 【2】 ―
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