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死者続出で立入禁止の堤防に不法侵入する釣り人たち

 昨今、海や川での密漁行為が増加している。密漁といえば、暴力団の資金源のように、組織的な犯行がとりざたされることが多いが、実は、立ち入り禁止区域に入る不法な釣りや、禁漁とされている魚介類を獲るなど、個人の“素人”による犯行も横行しているのだ。

 そもそも、海や河川には水産資源を守るためにさまざまなルールがある。詳しくは後述するが、サザエやアワビなど獲ってはいけない海産物を規定した規則や、港湾によっては釣り人の出入りがまったく許されていない場所、さらに地元の漁業組合のルールなど、複雑な規定が数多く存在する。だが、それらを知ってか知らずか、素人による密漁行為が後を絶たない。

 こうした軽はずみな行動に対し、漁業法などに詳しい上智大学法科大学院の北村喜宣教授は「プロだろうが素人だろうが密漁は密漁で、立派な犯罪。規則に違反すると逮捕・送致されることもある」と警告する。逮捕されるかもしれないリスクを背負ってまで行為を繰り返す、素人密漁者の姿を追った。

<関東沿岸>
◆死者100人超!? 危険な堤防に不法侵入を繰り返す釣り人たち

素人密漁者

死の防波堤への道を閉ざす門扉。

 関東沿岸のある大型港湾。ここに、釣り人の間で“隠れた爆釣りスポット”として知られる、沖合へ約4kmも延びる防波堤がある。だが一方で、この防波堤は“死の防波堤”との異名も持つ。ここで転落して死亡する釣り人が続出し、過去に68人もの死亡事故が起きているからだ。現在はあまりの危険さに「立ち入り禁止」となっているが、その釣果を期待して不法侵入を繰り返す釣り人が後を絶たない。

 管轄する港湾局は、「数は減りましたが、それでも連日10人ほどは釣り人がいます。侵入を防ごうと防波堤への門扉には幾重の鍵を付け、また鍵の種類も度々変えているのですが、その度に合鍵が出回って侵入されてしまう」と頭を抱える。その実態を探った。

素人密漁者

港には多数の防波堤があり、この場所でも「かかったエイに引っ張られて海に落ちて死んだヤツがいる」(釣り人)。

 取材班が朝方に着くと、死の防堤防に釣り人の気配はなかった。だが、近くにあるほかの防波堤には早くも釣り人の姿がちらほら。ちなみに、同港には件の防波堤以外にも短い堤防が複数あり、これらも「立ち入り禁止」だが、釣り人は慣れた様子で侵入している。埼玉県から来た男性に話を聞いた。

「もうかれこれ10年近く通っているけど、あの防波堤は天国だよ。大型魚がバンバン釣れるから。ただ素人には危険すぎる。看板には死者68人って書いてあるけど、あれは発見された人数で、実際はもっと多い。何年か前には、噂を聞きつけたのか、東京から来て防波堤の先で酒盛りをやっていた4人組のバカがいてさ。朝起きたら、1人が消えていたんだって。捜索隊が捜したけど、結局、テトラポッドの隙間から死体で発見されたよ。最近は警備が厳しいから、我慢してこっちで釣っている。海保に見つかったら捕まるしね」

 その後、防波堤付近にある空き地に車を止めて談笑していた釣り人数人に「合鍵を持っているか」と尋ねると、こう一笑に付された。

「聞いたこともないなあ」

 現場付近をパトロールする警察の存在もあってか、日中は死の防波堤には人影すらなかった。だが、日没に差し掛かると事態は一変した。

⇒『施錠された「釣り禁止の堤防」の合鍵が裏で流出しまくっていた』に続く
http://nikkan-spa.jp/379256


― 海で!川で![素人密漁者]が大暴れ【1】 ―




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