「せっかくローンで購入したばかりのマンションの廊下に、隣の解体工事現場からクレーンが落下したんですよ」

写真はイメージです(以下同じ)
こう語るヘアデザイナーの松本久司さん(仮名・43歳)。20年以上サロンに勤務して、ようやく独立した松本さん。晴天になると、窓から富士山が見える高級マンションの一室に店を構えた直後、サロンがある5階の廊下が崩壊したのだ。
芸能人も住む高級マンションで、まさかの事故

「そのマンションには、芸能人を始めとする著名人、経営者や資産家一家も多いと聞いています。オープンした直後に、テレビドラマで時々見かけるタレントも来てくれました。多少値が張っても購入して良かったと喜んでいたら、あの悪夢がやってきたんです」
閑静な住宅地にあるマンションにサロンをオープンして半年後に、隣に5階建てのビル工事が開始されるというチラシが、ポストに投かんされていた。
「工事による騒音が気になって、管理人に問い合わせました。マンション全体が防音になっているとのことですが、外部の騒音が気になります」
幸いに、松本さんのサロンが工事から一番離れた場所にあったため、窓を閉めると、昼間の騒音も営業妨害にならなかった。
「ほっと安堵もつかの間、強風の日に、事故が起こったんです」
それは桜の開花が近くに迫った季節だった。窓からの景色は、お堀に沿って、桜並木がずらり。春爛漫の頃に、美しく咲き乱れる桜の景観のイメージ写真をホームページに盛り込んで更新した直後。
「突然、ドーンという衝撃音と共に、ぐらぐらっと揺れてから、バリバリバリと、耳をつんざくような音が響いたんです。驚いて部屋を飛び出しました。5階の住民も外に出てきて、音の方に走っていったんです。すると、廊下にクレーンがドーン。陥没していました」