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鈴木おさむのサスペンス小説は「残酷なビジネス書」でもあった

鈴木おさむ氏

鈴木おさむ氏

 『週刊SPA!』6月4日発売号より放送作家・鈴木おさむ氏の連載小説「The Name」がスタートする。本作は、今年1月から2月にかけて下北沢本多劇場にて公演された舞台作品を、舞台版では作・演出を担当した鈴木氏が自ら筆にとり、小説化するというもの。

 物語は、今田耕司氏が演じたテレビプロデューサーが、ある日突然、落語家・立川談春氏演じた謎の男によって、息子を人質にとられ、あるゲームへの参加を余儀なくされるという不可思議なストーリー。タイトル通り、「Name」、つまり名刺が物語の鍵となっている。

 小説化に際して、作り手自身はどんなことを考えているのか? 鈴木氏本人に伺った。

――舞台版はシンプルな空間のなかで展開される、今田さんと談春さん、男二人の緊張感溢れる掛け合いが印象的な作品。特に談春さんの語り口が放つ迫力は圧巻でした。

この物語は談春さんが引き受けてくれたことで、内容が研ぎすまされていきました。もちろん出演のお願いをする時点で、あらすじは決まっていましたが、談春さんをイメージしたことで、「謎の男」のキャラクターが固まっていきました。談春さんが演じて、それを今田さんが受けるということが、今回の作品においては何より大きかったですね。

――それでは、小説版の執筆の際も、談春さんと今田さんを頭のなかでイメージしているということでしょうか。

そうですね、僕のなかでは、やはりお二人が動いたり、話したりしていますね。お二人とも別々のリズムを持った方なので、それを活かしてしています。ただ、小説版の読者の方には、それぞれ自由に思い浮かべていただければと思います。

――これからスタートする小説版、読者の方に楽しんでもらいたいというポイントはありますか。

もちろん小説として純粋に楽しんでもらいたいのですが、毎話盛り込んでいる、人に話したくなるエピソードにも注目してもらいたいです。一見、物語とは無関係な「情報」が、実はストーリーと絡んでいくようにしていますので。僕自身好きなんですが、知的好奇心をくすぐったり、人に話したくなったりするような情報が、物語のなかに入っていると嬉しいですよね。だから、ぜひSPA!を読んだサラリーマンにはそのネタを合コンで使ってもらえればと(笑)。

――それまでの展開がわからなくても、合コンで使える話題があるならそれだけでも読む価値ありますね(笑)。

やはりバラエティの仕事をしているせいなのか、一週見逃しても大丈夫なように、とかはついつい考えちゃいますね。途中からでもスッと入っていけるように、先週見ていなかった人にも受け入れてほしいって。やっぱり、スケベ心が出てしまうんですよ。一番小説からかけ離れている気もしますけど(笑)。あと、ストーリー以外でも楽しめるという意味では、情報を得られるってことのほかにも、「残酷なビジネス書」としても読んでもらいたいなって思っています。

――「残酷なビジネス書」とは?

サラリーマンの方なら絶対にひとつやふたつ、日常に納得がいかないことってありますよね? たとえば、同期の誰々は出世しているのに自分はできないとか、上司は自分が正当に評価してくれないとか。でも、それって本当に正義なのかという問題があると思うんです。

――耳の痛い話ですが、仰るとおり、ついつい自分に都合のいい部分だけを見て、理屈をつけて不平や不満を言っていることは少なくない気がします。

そうですよね。そういった、改めて明らかにされると耳の痛い部分をチクッと指摘するようにしています。普通のビジネス書はそういった部分は遠回しに突いているのに対して、この小説は容赦なくグサッと突くから「残酷」かなと。テレビ業界の話だし、トリッキーな設定なのでファンタジーといえばファンタジーなんですが、サラリーマンなら誰でも思い当たるようなリアルな部分を大切にしています。そして、この要素に関しても、やっぱり談春さんの存在が大きくて、「噺家さんがこんなイヤなこと言ったらどうだろうな」って考えながら脚本を書きました。噺家さんが持っている喋りのリズムって独特で、こればかりは役者さんにもなかなかマネはできないですよね。

――中年に差し掛かるサラリーマンにとっては目を背けたい半面、それはどうしても気になってしまいます……。

 実は、今回、SPA!でこの「The Name」の小説版の連載を始めるって言ったら、今田さんが「すごくいい!」って言ってくれたんです。「サラリーマンがあの物語が読めば、絶対感じることがある。『SPA!』が載せる雑誌としてベスト」だって(笑)。

⇒【後編】鈴木おさむ流アイデア創出法とは?http://nikkan-spa.jp/450663

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/渡辺秀之>

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