更新日:2013年10月11日 11:51
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東京五輪決定で「野宿者追い出し」が激化!?

 2020年東京オリンピックが決定してからというもの、根強かった誘致反対の声はすっかり鳴りをひそめた。だが、歓迎ムードに抗してあくまで反対を訴え続ける人々がいる。今年1月に結成された市民団体「反五輪の会」(http://hangorin.tumblr.com/)だ。
東京五輪

野宿者の排除に反対し、デモを行う「反五輪の会」

「反五輪の会」がオリンピック開催に反対する最大の理由は、それが社会的弱者の排除・抑圧につながるからだという。大きなスポーツ・イベントのたびにホームレスが排除される現象は、世界中で起きているのだそうだ。日本でも、2002年日韓共催サッカーW杯の会場となった大阪・長居公園から野宿者のテントが強制撤去されたことがある。「反五輪の会」は、今後7年間続く競技場建設と再開発ラッシュによって、東京中でホームレスの排除が行われることを危惧している。  実は、すでに排除は始まっている。今年3月4~7日のIOC評価委員会の候補地調査に先立ち、視察ルートから野宿者の追い出しが行われていたという。2月13日、東京都第二建設事務所と代々木警察署は、代々木公園近くの都道で生活する野宿者に「2月27日までにテントや荷物を撤去しなければ処分する」「3月8日までに戻ってきた場合、即刻処分する」と通告。20人近い野宿者たちが荷物を抱えて街をさまよい歩くことになったのだ。  その背景にあったのは、3月3日に開かれた「渋谷・表参道 Women’s Run」という市民マラソンの存在。視察に来たIOC視察団やランナーたちの目に、野宿者が入らないよう、その期間だけテントや荷物を撤去させたのだ。一方的な排除に憤った野宿者たちは、「反五輪の会」の運動に参加。3月5日に代々木競技場を訪れたIOC視察団や招致委員に対し、メガホンやジャンベを使って激しく「オリンピック反対」の意志を示していた。  そして今回の開催決定によって、さらに野宿者排除は激しくなると予測されている。特に、これから寒くなる時期にかけてのテントや小屋などの撤去は、高齢者が多い野宿者にとって生命の危険に直結する。野宿者支援を続ける山谷労働者福祉会館の向井健氏に聞いた。 「いま、東京では渋谷ヒカリエ、スカイツリー建設などの再開発で野宿者排除が続いています。追い出された数日後に水死体で発見された人もいる。“きれいな街づくり”はいつも貧しい人たちの排除とセットで行われていて、その陰では実際に命が奪われています」  最近では、「“排除”ではなく“包摂”のオリンピックを」というスローガンも聞く。だが、政府が行っている“包摂”が成功しているとは言えない。 「行政は、生活保護を野宿者排除の受け皿にする方針ですが、あまり機能していません。野宿者が入居できる施設のほとんどが、生活保護費をピンハネする“貧困ビジネス”の経営。何人も一つの部屋に押し込まれ、監獄以下、路上以下の暮らしを強いられているのが実状です。野宿のほうがマシなので、多くの人がすぐに施設を飛び出しています」(向井氏)  日常的な野宿者追い出しやお粗末な福祉行政を変えていかない限り、オリンピックにともなうホームレス排除は避けられそうにない。  渋谷区の公園に住む「反五輪の会」メンバー・大森氏(仮名)はこう語る。 「結局、東京都はオリンピックを誘致するために野宿者を見えなくしようとしました。放射能汚染水もそうですが、この国は問題を隠すことでごまかそうとします。そもそもオリンピック開催による“国威発揚”という発想自体が、野宿者を排除する大元にあるのではないでしょうか」 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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