会社を辞めた人間と付き合うとコンプラ違反?
一般的には「法令遵守」と訳されることの多い「コンプライアンス」。最近では、みずほ銀行の暴力団員への融資が大きく取り沙汰されているが、経営を揺るがすリスクとなるのは、こうした組織ぐるみの明らかな違法行為だけでない。
アルバイトによる悪ふざけ画像の投稿=「バカッター問題」などのように、一人の従業員のモラルに反した行動が明らかになれば、それだけで企業全体の信用はガタ落ち。経営を脅かすことにもなりかねず、こうした事件のたびに、「コンプライアンス体制の確立を!」と声高に叫ばれるが……。
現場からの声を集めてみると、「ポケットやロッカーの私物の抜き打ちチェックがある」(39歳・男・IT)といった、厳しい規制や監視に対する不満あり。あるいは、「コンプライアンスを守る!と、残業はタイムカードを押してから。当然、残業代は出ない」(30歳・女・流通)といった、アリバイづくりのルール化が横行していたり。本来は従業員のためでもあるはずが、ともすると本末転倒の事態にも。コンプライアンスに踊らされる職場模様を見ていこう。
◆情報管理
情報漏えいは企業の信頼を失墜させる死活問題。その対策に、会社は四苦八苦しているもよう。
「書類は、社外の人に見せられる情報/社外秘だが持ち出し可/持ち出しに要許可申請/社内限定/と重要度でランク分け。流出したら減俸」(25歳・男・IT)とか、「ノートパソコンは机にしまって帰る決まり」(35歳・男・金融)というのは、まあ納得できる。が、「プロジェクト中の製品名称は社内でもコードネームで呼ぶ。バレたところで大したことはなく、なんだか“ごっこ遊び”をしているみたい」(29歳・男・家電メーカー)って、どんなスパイが潜入してる想定だ!?
パソコン回りに目を向ければ、「ブラウザのアップデート禁止」(40歳・男・介護)だったり、「フリーソフトのダウンロード禁止」(37歳・女・IT)というルールの根拠はわからなくもない。が、「監視用ソフトが入っていて、フリーソフトをダウンロードすると、監視部署から上司を通じて厳重注意」される息苦しさたるや!
また、「情報漏えいやウイルス対策のため自前のUSBメモリは使用禁止」(27歳・男・マスコミ)という会社は多いだろう。しかし、「自分のUSBの使用は禁止されてるが、フロッピーディスクはOK。理由は容量が小さいから」(40歳・男・教育)だったり、「USBメモリ禁止のため、皆、無料のオンラインストレージを使用。一応、これも禁止なのだが、そこまではチェックが入らないので。さらに使用禁止のフリーメールに会社の全メールを転送している人が何人も」(39歳・男・住宅)など、一見厳しいようで、実は穴だらけという実態も。
それでも情報保護の意味があるならまだいいが、「会社を辞めた人間との付き合いは全面禁止。会社の情報を教えるなと言うが、『○○さんは元気』というのも“社内情報”らしい」(37歳・男・保守点検)に至っては、コンプライアンスというより単なる嫌がらせ?
― 今日も職場はコンプライアンスに大忙し!【1】 ―
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