元信者が語る「私はこうしてオーガニックを卒業した」
体にいいものを食べたいと、オーガニックな自然食材などを愛好する女性は少なくない。それはいいのだが、度を越した「信仰」で周囲を振り回す人もいる。そんな「信仰」から脱した女性に、いかにして卒業できたのか伺った。
◆元信者が語る私はこうしてオーガニックを卒業した
「食は、自分を形成するために一番大事なもの。だからこそ、農薬などを使っていない、自然なものを食べたいと思っていました」と語るのは、岸本悦子さん(仮名・27歳・公務員)。
もともと、健康志向の強かった岸本さんは、友人の勧めもあり、あっという間にオーガニックにハマっていった。
「添加物をたくさん食べていると、将来妊娠したとき、子どもに悪影響を与えてしまうと考えたら怖くて。食材は、自然派のお店で買うようになりました」
職場には毎日手作りの弁当を持参し、同僚とのランチも断るように。岸本さんのオーガニック熱はさらに加速していく。
「肌にもいいものをと思い、コスメやシャンプーはすべてオーガニック系のものに買い替えました。正直、かなり高くつきましたけど、自己投資だから仕方ないと割りきっていましたね」
ひたすらオーガニックにこだわり続けた岸本さんだったが、ある日事件が起きる。
「数人で食事しているときに、オーガニック仲間のコが、『それは毒だから食べちゃダメ』とか『私の買ってる天然水のほうがおいしい』と言っている姿に、みんなドン引きしていたんです。そのとき初めて、客観的に私もこんなふうに見られていたんだと気づいて大ショックでした」
周りが見えなくなるほどのめり込んでいた岸本さんだったが、その一件であっさりオーガニック生活を卒業。
「高額つぎこんだ割には、体に劇的な変化はありませんでした。正直無駄金でしたね……」
オーガニックの呪縛から解き放たれた岸本さんの最近のお気に入りは、マックのてりやきバーガーだという。
取材・文/中村未来(清談社)
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