燃費の悪いクルマ、高級車、軽を増税するのは妥当!?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
ここに2台のクルマがあります。1台はメルセデス・ベンツが誇る新型Sクラス。1000万円オーバーの超高級車です。もう1台はスズキのスペーシア。堀北真希がCMする軽自動車で、100万円+αで買えます。この2台のような超高級車と軽自動車が、いずれも“消費税増税のとばっちり”で、消費税以外の税金が増えるかも!?
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆増税待ったなし!?日本の自動車関連税制について愚考しました【後編】
⇒【前編】「消費増税のとばっちり! 自動車関連税制はどうなる?」はコチラ https://nikkan-spa.jp/534527
後編は、今年3月に発売されたスズキのスペーシア。血のにじむような軽量化等により、カタログ燃費リッター29kmを達成したトールワゴン軽だ。
とにかく広い。とてつもなく広い。後席の広さに関しては、メルセデスSクラスよりはるかに上! スペーシアに比べたら、Sクラスなんざ天井が低くて狭い狭い。さすがにシートのゴージャスさなどでは言語に絶する差があるが、こと広さに関しては、いかにファーストクラスでも、「マンガ喫茶にはかないません!」って感じですね。
走り。これも凄い。驚愕だ。今回我々取材班は、福島県までこのスペーシアで往復しましたが、その走行性能の高さに圧倒されました。食パンみたいな形なので横風にはちょっと弱いけど、ノンターボ車でもエンジントルクは驚くほど太く、東北道の追越車線を余裕でクルージング可能。日本の制限速度を考えれば、これですべての用は足りるどころかあり余る。
スズキの鈴木修会長は、軽自動車増税の動きに対して、「弱いものいじめだ」とおっしゃいましたが、これを弱いものと言うのは、さすがに無理がある。
そりゃね、「ここまで性能を向上させるのに、どんだけ努力してきたと思ってんだ!」というお気持ちはわかりますが、ここまで来てしまうと、ビールと区別がつかなくなって増税された発泡酒のようなもので、言い訳はムリです。なんせベンツのSクラスより広いんだから!
ちなみに、日本の自動車関連諸税は高い高いと言われていますが、消費税やガソリン税などトータルで見ると、ヨーロッパより安いです。特に軽は激安っす。
【結論】
燃費の悪いクルマと高級車、および軽を増税するのは、公平性の見地から妥当だと存じます。ただ日本は保有税が高すぎて、燃料税とのバランスが悪い。すべてをひっくるめて、抜本的に改正してもらいたいなあ!1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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