日韓友好ムードの“ゴリ押し”がのちの嫌韓を醸成した
現在35歳の読者が学生だった頃、つまりほんの十数年前まで「韓国が大嫌いだ!」という日本人はそう多くなかった。ところが今や「嫌韓派」は堂々たるマジョリティ。夕刊紙は嫌韓記事を日々連発、韓国批判がテーマの新書はたちまち増刷。一体なぜか? それを検証すべく、’00年代以降に起きた韓国関連の主な事件をピックアップ。300人アンケートから「当時、韓国への反感が増した」と回答した人の割合を年表(https://nikkan-spa.jp/539569)にまとめたところ、’11年頃を境にムカツキ度は絶賛加速中。その背景を「嫌韓」の最前線にいた人々の証言から読み解いていく。
【韓国が嫌いになった最大の理由は?】
・国民性(スポーツの国際試合で不正を省みず勝利にこだわる態度など)が嫌い:35.2%
・反日だから:32.1%
・領土問題:13.0%
・韓国利権が日本を侵食しようとしているから:10.4%
・個人的に韓国人と接した経験から:6.2%
・韓流ブームへの反発:2.6%
・その他:0.5%
◆日韓友好ムードの“ゴリ押し”がのちの嫌韓を醸成
SPA!実施のアンケートでは、韓国を嫌いになった最大の理由として「国民性(スポーツの国際試合で不正を省みず勝利にこだわる態度など)」を挙げた人が多数。それに気づいたのは’02年の日韓ワールドカップがきっかけだったという声は多い。’05年に『嫌韓流』を出版し、嫌韓ブームの草分けとなった漫画家の山野車輪氏も「’02年のW杯は今の嫌韓の源流となった記念碑的事件だった」と言う。
「あのW杯以前から、サッカーファンには韓国が嫌いな人が多かった。ただそれは、『サッカーのライバル国として嫌い』というだけで、半ばネタでいじり合う雰囲気もあったんです。それがW杯以降は“ガチ”な人が増えた」と語るのはサッカーライターの岡田康宏氏。
「単純に韓国代表のラフプレーが反感を買ったというだけではない。プレーの汚さなら中国のほうが上ですし(笑)。W杯で嫌韓ムードが盛り上がった最大の原因は、別の部分にあったと思います」
その原因とは「韓国が疑惑の判定に助けられて勝ち上がった事実が、積極的に報じられなかったこと」だと岡田氏は言う。
「あからさまに韓国有利な判定が目につき、後にFIFAが企画したDVDの『W杯史上に残る誤審』では、同大会の韓国戦の事例が10件中4件を占めたほど。ですが、当時は日韓友好ムードを壊してはいけないという雰囲気が日本のメディアにあり、韓国に不都合な報道は明らかに少なかった。僕が韓国の試合について批判的に書こうとしたコラムに、編集者が勝手に『韓国がんばれ!』と書き足そうとしたことも(苦笑)。このような“無言の圧力”に不信感を覚えた人が多かったのでしょう」
その後、前出の『嫌韓流』が出版され、第一次嫌韓ブームが到来。だが、嫌韓派がマジョリティに浮上したのは、それから7年を経た年のことだった(※グラフ参照)。
⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=539639
【岡田康宏氏】
’95年からサッカー情報サイト『サポティスタ』を運営し、雑誌『サッカーキング』プロデューサーも務める。アイドルファンでもあり、近著に『アイドルのいる暮らし』
【山野車輪氏】 ’05年に出版されたマンガ『嫌韓流』で一世を風靡。’09年までにシリーズ4作を刊行。近著に『終戦の昭和天皇 ボナー・フェラーズが愛した日本』(原作/井上智重)
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