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ベネズエラ戦で見えたサッカー日本代表常連組の新たな関係性

 サッカー日本代表は9日(火)、キリンチャレンジカップ2014でベネズエラ代表と対戦し、2-2で引き分けた。二度に渡りリードした日本だったが、水本のPK献上、川島の代表GKらしからぬファンブルで追いつかれ、5日(金)に札幌で行われたウルグアイ戦に続き、新体制での初勝利を挙げることはできなかった。  勝てるゲームを落とした格好となったが、収穫もあった。試合後にアギーレ監督が「日本の新しい血が活躍した」と語ったように、若い武藤、柴崎が代表初ゴールを挙げたことは明るいニュースだ。キャプテンマークを巻いた本田圭佑も「2点とも完全に囮に使われてね。昔の自分を思い出す」と語りながらも、新戦力の台頭を歓迎した。  始動から1週間、システムもメンバーも変わり、当然ながら連携面はまだまだだ。受け手と出し手のタイミングが合わず、ボールを足下に止めた状態で周りを見ながらパスコースを探す場面が多く見られた。そんな中、既存メンバーの間でも、配置が変わったことで今までには無かった新たな化学反応が生まれている。3トップの中央で先発した大迫勇也と、左の柿谷曜一朗の関係だ。 サッカー日本代表 2人とも前半45分のみの出場となった。得点という結果が出なかったことは課題だが、もう何年も前線でコンビを組んでいるかのような連携を披露し、ベネズエラゴールに迫った。前半37分に柿谷がGKと一対一を迎えた場面は、この日最も連動して相手を崩したシーンだ。「自分がうまくDFラインと駆け引きをしながら相手選手の間に顔を出すことで良い形ができると思う」と大迫が話した通り、一度裏へ抜けるフェイクから反転し、相手DFラインの前へ顔を出し柴崎の縦パスを引き出した。大迫がダイレクトで森重へ落とす間に柿谷が裏へ走り出す。全てのタイミングが完璧に合った。  試合後のミックスゾーンでは、互いに確かな手応えを口にした。大迫が「(柿谷とは)同じFW同士ということで感覚が合うし、練習から良い感じでできている」と話せば、大迫が去った後に現れた柿谷も、記者からの質問を受ける前に自ら「サコとはすごくやりやすい。少しでも点を取りやすくするために、お互いにうまく連動できれば良い」とコメント。「今日は全体的に選手間の距離が長くなってしまっていたのが一番の問題だった(大迫)」が、今後中盤の連携が構築されれば、大迫がより多くの縦パスを引き出し、柿谷との連動した動きで攻撃を活性化させられることだろう。  ザックジャパン時代にはシステムの関係上同時にピッチに立つことはなかった二人だが、その新たな関係性は今後アギーレ・ジャパンの武器となっていくのか。新戦力の台頭に注目が集まっているが、既存メンバーによる新たな化学反応にも期待していきたい。 <取材・文/福田 悠 撮影/山田耕司>
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、今季は神奈川県フットサルリーグ1部HONU(ホヌ)でゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129
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