更新日:2020年09月11日 16:10
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ユニクロの新作デニムは「素材だけみれば極上」

メンズファッションのバイヤーMB氏

メンズファッションのバイヤーMB氏。「『オシャレに見える』にはちゃんと理屈があるんです」が持論

 メンズファッションのバイヤーMBです。洋服の買いつけという本業の傍ら、ブログやメルマガで「オシャレの正解」について発信していたところ、こちらで執筆させていただくことになりました。連載第14回目をよろしくお願いします。  最近ユニクロで目につくのが「デニム」です。どこの店舗でも目立つようにレイアウトされ、「日本のトップメーカーカイハラとの協業!」「昔ながらの作りのセルビッジデニム!」といったPOPを展開しています。確かに2015年春夏のメンズファッションの流行は「デニム」一色。若者雑誌もオヤジ雑誌も「今年はデニム!」と謳っています。もともと国産にこだわるなど、ほかのファストファッションブランドと比べても群を抜いて気を遣ってきたユニクロ。今年の流行を無視しないわけがないでしょう。というわけで今回はユニクロ2015春夏、渾身の出来とも言える「デニム」について紹介したいと思います。まずは、ユニクロが打ち出す「カイハラ」「セルビッジ」などの素材を徹底解剖していきましょう。 「カイハラ」とは?  そもそも「カイハラ」とは、1893年に広島県で創業し、日本はおろか海外でも高い評価を得ている世界屈指のデニム生地製造メーカーです。ユニクロは今回この「カイハラ」にデニム生地の製造を発注しているのですが、業界では「カイハラは、品質は極上だか価格も高い」というのが一般的な認識です。リーバイスやエドウィンなど老舗ジーンズメーカーも手がけ、ヒューゴボスやピエールカルダンなどのハイブランドも手がけています。「自社一貫製造」が大きなウリの一つで、綿花から糸を作る「紡績」、染色、糸を布として織り上げデニム素材にするといった工程のすべてを自社で行うことができます。自社一貫製造は日本ではカイハラ一社しかできません。そのメリットは多く、低コスト化、品質の安定、生産期間の短縮化はもちろん、自社で糸から開発した特殊デニムなども製造可能なのです。これだけのことができるわけですから、世界的な支持も頷けます。  また「カイハラ」と並んで店内のPOPに並ぶ「セルビッジ」とは何か? これは旧式の織り機を使ったデニム生地のことの通称で、ヴィンテージデニムなどによく見られる素材です。通常のデニムと比べて表面に凹凸があるのが特徴で、この凹凸のおかげで表面に影ができ立体的で美しい風合いに見せてくれます。また凹凸が色落ちを加速させ、穿きこむうちに「縦落ち」と呼ばれる綺麗なシワ感と色落ちをつくってくれます。「セルビッジ」が製造できる旧式の織り機は生産効率が非常に悪く、日本でも扱っている会社はごく僅かです。そのため希少性が高く、高級素材として知られているわけです。 実際に素材感を確認してみた ユニクロの新作デニムphoto1 こちらがユニクロイチオシのデニム。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=808661 ユニクロの新作デニム2 触ってみると重厚な風合いであることがわかります。ヴィンテージデニム特有の生地に凹凸があります。オールシーズン使える13オンスという生地の厚さ、「カイハラ社製」、「セルビッジデニム」と揃って、3990円(+税)は正直、頭がおかしい価格です(笑)。近くにヴィンテージデニム好きがいたら触らせて「価格を当ててみろ」と煽ってみてください。100%外すと思います。素材だけみたら極上です。 ユニクロの新作デニム3 裾を折り返すとでてくる「赤ミミ」。これは元々セルビッジデニムのホツレ防止のために付けていたものですが、いつの間にかセルビッチデニムを表すアイコンのような扱いになっています。「高いジーンズだぜ」という証しです。 ユニクロの新作デニム4 ボタンやリベット(ポケットの淵についている金属のパーツ)も全てユニクロ刻印入り。有り物ではなく自社製造品。細かいところも凝っています。 ユニクロの新作デニム5 昔働いていたデニム専門店で先輩から、「このステッチ(縫い目)の最後を折り返しているデニムは良いデニムだ」と教わりました。もちろん絶対そうとは限りませんが、ホツレる可能性が低くなるので細部にこだっている証拠でしょう。ユニクロデニムももちろん折り返し。 ユニクロの新作デニム6 裾裏はチェーンステッチ仕様。裾を縫う糸がチェーン状の形になっていることからこの名が付いています。チェーンステッチは特殊なミシンでなければ縫製できないのでコストがかかりますが、その分美しい色落ちが生まれます。 「手放しで全部買い」とは言えない!シルエットを見極めろ! 「ユニクロデニムは買いか?」と聞かれたら、「(素材だけみれば)買い」です。素材だけで見れば、おそらく世界中にあるデニムのなかで、もっともコストパフォーマンスが高いと言っていいでしょう。このクオリティの素材を3990円(+税)という破格で発売できるのは世界広しと言えどユニクロだけです。しかし、「素材だけ見れば」と書きました。シルエットに難ありなのも事実です。ユニクロのシルエットは幾つか種類があり、レギュラーフィットシルエット、スリムフィットシルエット、スキニーフィットシルエットと大きく3つに分けられます。「レギュラー=太め」「スリム=細め」「スキニー=極細」といったところですが、重要なのはレギュラーシルエットかスキニーシルエットを選んでほしいということです。半端な細さのスリムフィットよりも、キュッと細めのスキニーか、太めで存在感あるレギュラーがオススメです。素材も肝心ですがシルエットも同様に重要です。大胆に選びましょう。細いか太いかハッキリさせてメリハリのあるシルエット作りをすることで、ユニクロの高級素材が一層際立つはずです。シルエット構築のヒントは「最も早くオシャレになる方法KnowerMag 」にも書いていますのでぜひご参考に。デニムブームの2015年春夏。パワーアップしたユニクロのデニム素材と美しいスキニーシルエット、試してみてはいかがでしょうか。 <文/MB>
MB
ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Xアカウント:@MBKnowerMag

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