高校生世代までは日本の野球は世界一。その後アメリカに差をつけられるのはなぜ?
日本では高校野球は視聴率が高く、多くの観客を魅了する存在だ。
U18ワールドカップでは、今年も米国と決勝を争い2対1で惜敗したものの準優勝。過去6回参加したなかで5回準優勝を果たしている。アメリカよりは弱いということもなく、過去に行われた日米親善高校野球でも日本の球児が勝ち越しており、「高校生世代までなら日本の野球は世界一」ともいわれているほどだ。
そんな高校野球に代表される学生スポーツだが、世界と比較すると「そもそもの考え方、出発点が違っている」と言うのはスポーツライターの小島克典氏。
「富国強兵の名のもとに学校教育の中で奨励されてきた学生スポーツの背景を考えれば、スポーツの“シゴキ”は当たり前なんです。一方で欧米ではラテン語のdisportare(荷を担わない)が語源といわれるように、スポーツは『苦しいものから離れる』、つまり楽しむことが前提になっています」
日本球児が練習に打ち込む高校時代を過ぎると、なぜにアメリカに水をあけられてしまうのか……。
「アメリカでは大学スポーツはショーとして確立しています。巨大化した“ショー”を通じて学生たちは競技者としてだけではなく、運営やスポーツビジネスの仕組みも学べます。この構造の差は大きい。彼らが卒業後にスポーツビジネスの現場で活躍し、スポーツ業界を強固にしているのです」
また、欧米ではシーズンごとに異なるスポーツに触れる機会があり、学生時代に個々が最適な分野を選べる環境の差は大きいという。
★興行としての規模は海外も大きいが根本的な理念が違う
【小島克典氏】
横浜ベイスターズ、 SFジャイアンツ、NYメッツで通訳や広報を担当。大学教員を経て現在はスポーツライター、通訳として活躍。ゆるすぽweb編集長
取材・文/野中ツトム・西山大樹(清談社) 古澤誠一郎 加藤カジカ
― [日本流はスゴい!]は本当なのか? ―

【関連キーワードから記事を探す】
若手4人組バンドの「甲子園応援曲」が炎上…浮き彫りになった“日本の音楽シーンが抱える課題”
甲子園“慶応の応援”に賛否も、「フェアじゃない」という批判を筋違いに感じた理由
巨人坂本勇人は“20年に1人の選手”だと思った…母校監督が語る「高校時代の坂本」
広島・坂倉が“日大三を選んだ”理由。甲子園には縁がない3年間でも「一生の財産」
「夏の甲子園」予選で敗れ去った大物プロ野球選手の短すぎた夏
今永昇太、フォーシームの“価値”が大幅下落…DeNA時代からあった「危険な兆候」
和歌山県出身監督は勝負弱い?小久保・西口・吉井3監督の采配から見える“意外な共通点”とは
「敬遠されない」大谷翔平に“明らかな異変”…初球打率.133「消極的打撃」がもたらす“負の連鎖”
「制球難」佐々木朗希の“救世主”が攻守に不振…ドジャースが迫られる「究極の選択」とは
カブス今永昇太が越えるべき「2年目の壁」と日本人投手の“不吉なデータ”