甲子園球児の酷使「馬鹿げてる」と海外野球ファンから驚きの声
いよいよ開催が迫った甲子園。青空の下で球児たちが汗を流しながら躍動する姿はまさに夏の風物詩だ。「普段は野球を観ないけど、甲子園はつい観てしまう」。そんな読者の方も多いのではないだろうか? 果たして今年はどんなドラマが生まれるのか気になるところだが、海外の野球ファンの視線はある一点に集まっているようだ。
◆選手の酷使は軍国主義への回帰?
http://www.sbnation.com/hot-corner/2013/4/4/4184234/japanese-pitcher-16-tomohiro-anraku-pitches-abuse
●JAPAN TODAY
http://www.japantoday.com/category/sports/view/japans-high-school-baseball-looks-to-save-pitchers
<取材・文/林バウツキ泰人>ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
それは選手の酷使。過密な日程と過酷な気象条件は以前から指摘されてきたが、ヤンキースで大活躍を続けてきた田中将大投手が故障したことで、あらためて日本球界の登板過多に厳しい目が向けられているのだ。昨年春の選抜高校野球では済美高校の安楽智大投手が772球を投げたことが話題になったが、アメリカのスポーツニュースサイトSB NATIONや、JAPAN TODAYの甲子園関連のコメント欄を見ると、コアな野球ファンは未来のスター選手が怪我で潰れてしまうのではないかと神経を尖らせているようだ。
「球数の問題だけじゃない。何日も連投させるべきじゃないし、馬鹿げてるよ。文化の違いだなんだってのはわかるけど、これは生物学的な問題だ」
「グアンタナモで尋問してるCIAですらこんなことは認めないだろうな」
「悲しいのはプロにもなれない何千人ものアマチュア選手がぶっこわれた肘で生活してかなきゃいけないってことだよ」
大エースが逆境をはねのけてチームを引っ張る……そんな献身的な姿は、海外のファンの目にはショッキングな光景として映っているようだ。また、なかには歴史と絡めて、指導者への不快感を示すコメントも。
「甲子園は統制や軍国主義への回帰だね。あの監督たちは一般人を鞭叩いて仕込んでく鬼教官みたいだ。スポーツは楽しむためにやるもんだと思ってたけど……」
上記のコメント以外にも、「あくまでスポーツなのに怪我をさせるような起用は間違っている」といった意見が目立っている。
◆日本人メジャーリーガーの故障は登板間隔が原因という声も
日本球界を代表するビッグイベントが“非人道的”だと思われているのは残念だが、一方でこういった問題は日本だけのものではないとの指摘も。
「アメリカでは成長過程の選手は注意深く見守るけど、メジャーのピッチャーには中5日で投げさせる。日本では若い選手には投げさせるけど、プロには週一でしか投げさせないよ」
「メジャーの投手に置き換えてみなよ。プロ野球のピッチャーはあまり故障しないけど、メジャーでは腕の故障が蔓延してる。タナカも日本で投げてたときは大丈夫だったのに、メジャーで中5日になってから、すぐ故障しただろ?」
また、大会の規模が大きくなるにつれ、“大人の事情”が絡んでくるのは甲子園だけでなく、スポーツ界全体の問題だとする声もあった。
「アメリカの親なら『人殺しだ!』って騒いで訴訟を起こすだろうな。でも怒ってるのはメジャーのスカウトで、アンラクの親じゃないだろ?」
「脳や身体へのリスクを受け入れて、子供に(アメフトの)オフェンシブ・ラインマンをやらせてるアメリカの親とそんなに違うか?」
選手本人が目の前の試合はもちろん、将来的にも後悔せずにすむような環境を整えることはスポーツ界の重要な課題だ。観戦する側も球児のプレーを楽しむだけでなく、背景に目を向けることも必要なのかもしれない。
とは言っても、それは“外野”の話。憧れの地に立つ球児たちには、ぜひ全力を尽くせるよう健闘を祈りたい。
*参照元
●SB NATION
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