「私が40代日本人なら何を買うか」沈む日本で生きのびる道を世界的投資家がズバリ
今月から改正出入国管理法が施行された。新たな在留資格「特定技能」が設けられ、単純労働での外国人材に門戸がひらかれることとなった。
この外国人労働者の受け入れに、世論は割れている。国内の雇用を脅かすのとの意見も聞かれる。だが、外国人受け入れについて、ぜひ受け入れるべきだ、と声を上げる人物もいる。それは、世界3大投資家のひとりである、ジム・ロジャーズである。
お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP研究所)では、移民を受け入れない限り日本に明るい未来はない、と断言している。
あらかじめ言っておくがロジャーズ氏は、大の親日家であり、日本を高く評価している。<世界中の市場が暴落しても日本株は保有しておく>と言ってはばからない。そんな日本びいきのロジャーズ氏をもってしてでも、日本の先行きには厳しい視線を浴びせる。
日本の未来を読み解く鍵は「外国人」の受け入れだという。
※以下、< >は同書より引用
ロジャーズ氏のポリシーは「投資を成功させるためには歴史を学べ」である。そのロジャーズ氏が言うには、<国を閉鎖して成功したという例を、私は知らない>という。
例えばエチオピアという国の歴史をご存じだろうか。今では世界最貧国の一つと言われる国だが、かつては帝国を築き植民地化しようとしたイギリスをはね除けるほどの国力を持っていた。しかし、外国人を排斥するようになったとたん、帝国は崩壊。一時はイタリアの植民地となった。
また近しい例ではミャンマーも国境を閉ざして貧困国に転じた国だ。1962年時点で、ミャンマー(当時の国名はビルマ)は、アジアで最も裕福な国だった。しかし軍事政権が発足し外国人を追放。国境を閉鎖してから50年後の今は、アジア最貧国となっている。
外国人は新しい活力・資本・アイディア・刺激をもたらし、国を活性化させる。歴史的にも外部からの人材の受け入れを拒否することは、衰亡の一途をたどることはご理解いただけただろう。
そして歴史を見るまでもなく、日本には大きな課題がいくつもある。その一つが人口減少だ。ロジャーズ氏いわく<日本人は外国人を受け入れるよりも生活水準の低下を選んだようだ>。
だが外国人の受け入れは、社会に混乱を起こすのではないか。特に治安の良いと言われている日本では犯罪の増加が懸念される。
治安に対しての心配はないとロジャーズ氏は述べている。
アメリカで<一度犯罪が明るみになった時、人々は「犯人を見よ、あいつは外国人だ」とは言いはしても、「犯人はアメリカ人だ」とは言わない>。
外国人が罪を犯した時だけことさらに「外国人」であると強調することが、外国人は犯罪者だ、という先入観を植え付けてしまうのだ。
もっとも2050年には、日本は犯罪大国になっている可能性もある。経済が低迷し国が破綻に向かうとき、社会不安は募り、国民全体が不満を抱え、怒りは暴力へと矛先を向けられる可能性が大いにあるからである。
だからロジャーズ氏は日本人に向けてこう発言する。<もし私が今、10歳の日本人ならば、自分自身にAK-47(自動小銃)を購入するか、もしくは、この国を去ることを選ぶだろう>と。
今日本は、国と地方と合わせて約1100兆円もの“借金”を抱えている。この額は、GDPの約2倍にもあたる。
<日本の国庫には老齢人口を支える資金くらいは残っているだろう。しかしその後——いま10歳の子どもたちが40歳になる頃には、彼らの老後を保障する金は尽きている>
では少子高齢化の日本に、本当に未来はないのか?というと、そうではない。ロジャーズ氏は、日本再興のシナリオ同書にはいくつか提案をしている。
まず移民について。EUで移民が問題となっているのは、一度に大勢を受け入れすぎたせいだという。少子高齢化のドイツは2015年に、中東やアフリカの難民を率先して受け入れた。その数は全国民の1.2%という、飛び抜けて高い数字だったからだ。
<移民の受け入れ方をコントロールしなければいけない>。短期間でたくさん流入しないように調整すれば国民のストレスとなることはないと。
今、話題のロジャーズ氏の新著『外国人の受け入れなくして繁栄はない
「私が10歳の日本人なら、この国を去る」
外国人受け入れはコントロールすれば怖くない
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