ロックはもう死にかけ? 「ウッドストック50」中止の波紋
愛と平和と自由を謳ったロックの祭典から50年。これを記念して、今夏に開催予定だった「ウッドストック50」が中止の危機にひんしている。4月29日、出資者が中止を発表したのだ。予定地であるニューヨーク州の保険当局から許可が下りなかったことや、出資者である電通の現地子会社と大手プロダクション会社「Superfly」が立て続けに撤退したことなどが、理由として挙げられている。
さて、ウッドストック50問題の大半は事務処理をめぐるドタバタなのだが、それでもよぎってしまうのが“ロックの死”というフレーズだろう。3月19日に発表された出演予定者のラインナップに、批判と嘲笑のツイートが殺到してしまったことからもうかがえる。
ジェイ・Z(49)やマイリー・サイラス(26)といった現役バリバリのビッグネームに、サンタナ、ジョン・フォガティ(73)、ジョン・セバスチャン(75)、ホット・ツナ、キャンド・ヒートなど、“昔の名前で出ています”の面々が紛れ込んだポスターは、率直に言ってグロテスクだった。1969年の同窓会をやりたいだけなのではないかと、うがった見方もしたくなるチョイスである。事実、69年同様、フェスを通じて社会的なメッセージを打ち出したいと、ラング氏は考えていたようだ。
もっとも、象徴的な意味以外でも、フレッシュな音楽としてのロックは賞味期限が切れている。大御所ミュージシャンは軒並み70歳オーバーの高齢化を迎え、身体に無理が効かなくなってきている。
そして、ONE OK ROCKのTaka(31)も言うように、欧米ではギター中心のロックは下火だ。ギターソロの存在すら知らない若いリスナーが大勢を占める昨今、新たな創造性や時代精神を切り開いていく役割は求められていない。これが現実だろう。
だからといって、筆者はこのままロックが衰退してしまっては困る、などとは思わない。良い音楽、美しい曲が聴けるのであれば、どのような形式でも構わないからだ。
こうした一連の動きに対して、ウッドストック・フェスティバルの生みの親で、ウッドストック50も主催するマイケル・ラング(74)は、まだ開催をあきらめていない様子だ。新しい出資者が見つかること、当局からの許可もじきに得られることなどを、現在も繰り返し主張している。だが、大方の報道からすると、キャンセルの線が濃厚だと言えそうだ。
出演予定者リストに嘲笑の声も
いずれにせよ、ロック系を大幅に縮小し、大成功を収めている「コーチェラ」(1999年から行われている野外音楽フェス)と比較するまでもなく、こうしたアプローチがいかに時代錯誤であるかがわかるはず。そんなわけで、ウッドストック50のしょぼくれた頓挫は、ロックに最後通告をしたように思えたのである。It's time #Woodstock50 pic.twitter.com/gvyCXegh6F
— WOODSTOCK (@woodstockfest) 2019年3月19日
ロックの大御所は軒並み70歳以上に
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