カーライフ

EVよりガソリン車の伸びしろが大きい理由

EVに夢がなくて、ガソリン車に夢があるのは、ムダが多いから!

クルマの電動化はまったなし。「’35年までに新車はすべて電動化すべし!」の大号令のもと、電動化されていないクルマ(新車)は姿を消す模様。だからといって、電動化=EV(電気自動車)かっていうと日本ではそうではないんです。欧米とは異なり、日本ではガソリン(エンジン)と電気(モーター)の両方を使うハイブリッドもOK。しかも、EVより進化の余地があるのです!
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ROCKY&RAIZE

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

自動車の伸びしろ

 ’21年暮れ、トヨタはバッテリーEV(BEV)に関する大説明会を開催。この先登場予定のEVを16台もズラッと並べて、全世界に向けてデモンストレーションを行った。  個人的に一番注目したのは、豊田章男社長が「トヨタは電費性能にこだわります」と言ったことだった。  電費とは、ガソリンやディーゼルなどの内燃エンジン車で言うところの燃費。EVの航続距離は、デカいバッテリーさえ積めば伸ばせるけれど、電費アップは「チリも積もれば……」な節約技術の積み重ねによってのみ達成される! EVでは航続距離ばかりが注目されていて、電費はサッパリ話題になってないが、そこに焦点を当てるとは、さすが日本を代表する企業・トヨタ! お箸の国の人だもの!
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’30年までにBEV販売台数約350万台宣言しましたが……

 が、章男社長が口にしたのは、「125Wh/㎞を目指す」というものだった。この数字、現状どのEVも達成できていないけど、日産リーフと比べると、わずか2割のアップでしかない。やっぱりそんなもんなのか~。EVはもともとエネルギー効率がいいから、そのぶん伸びしろが小さいのだ。  世界初の量産ハイブリッドカー・初代プリウスは、同クラスのガソリン車の2倍近い燃費性能で登場した。2割と2倍じゃ大違い。2割の改善なんて、一般ユーザーはなかなか気づかないけど、2倍なら誰だってわかる。それはつまり、内燃エンジンはムダが大きいぶん、伸びしろがデカいってことなのだ!
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バッテリー革命が起きない限り…
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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