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「売り方よりも”買い方”を提案する」営業のプロが教える顧客ファーストの極意

営業では「お客様目線で考える」ことの重要性が語られることが多い。営業の「売りたい」という思いが先走ると、独りよがりなセールストークになりがちだからだ。しかし、本当の意味で「顧客目線での営業」とはどのようなものなのか。営業支援のトップランナーとして知られるセレブリックスの今井晶也氏は、「優秀な営業パーソンほど、『売るもの提案』ではなく、『買いもの提案』ができる」と話す。 これまで門外不出にされてきた同社のノウハウを著書『セールス・イズ 科学的に「成果をコントロールする」営業術』で公開した今井氏。そんな彼が教える、「顧客目線で営業をする」ポイントとは?

「高性能ビジネスチェア」という商材をどう売るか?

いきなりですが、皆さんの営業適応力をチェックする質問をさせてください。下の【図】をご覧ください。このように様々な強みや特長のある高性能ビジネスチェアの営業担当だったとします。目の前にお客様がいるとして、「この高性能チェアを売ってください」と言われたら、あなたはどうやってこの商品を売りますか? 考えてみてください。

この商品をどのように営業する?

この問いに対して、「国内製造の安全品質」「デザインの賞を獲得している」「人間工学に基づく設計」「壊れにくい」といった、機能や特長を訴求しようとした場合、残念ながら赤点です。 なぜなら、商品の特長や効き目で心が動くのは「買おうと思っているお客様」くらいだからです。新規営業で圧倒的に多いのは、「買う予定がないお客様」に営業するケース。そうしたお客様に商品の強みを訴求するのは、営業のエゴとも言えます。

商品のよさをアピールするのではなく…

例えるなら、意中の人に、どれだけ自分が優れていてモテてきたかという自慢話を延々と聞かせているようなものです。 今の時代の営業パーソンが“大前提”として知らなくてはいけないのは、商品を必要とする価値は、お客様によって異なるという事実です。「いいものだから売れる」という時代は終わりました。デザインに興味ない人に、オシャレさを推しても心が離れるだけ。相手の価値基準に合わせなければ、せっかくの商品の価値は1ミリも伝わりません。 こう言われると当たり前だと気づくのですが、多くの営業パーソンは「商品のよさをアピールしたい」という思いが先走り、「性能のよさを伝えることが、相手にとって一番メリットがある」と、勝手な解釈をしてしまいます。 そうならないために必要なのは、商品の「機能」や「特徴」を、お客様にとっての「価値」とハッキリ分けて認識することです。 ☑この商品(主語)は優れている→機能や特長、利点、効能 ☑お客様(主語)が課題を解決できる→価値 「機能」や「特徴」「利点」「効能」は、商品に紐づく情報です。一方で、「価値」とは相手が感じる必要度合いやモノサシであり、あくまで「お客様の課題」に紐づきます。要するに「主語」が違うのです。この違いをきちんと認識していなければ、決してお客様の心は動かせません。
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お客様を「主語」にして行動できているか?
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株式会社セレブリックスの執行役員マーケティング本部長として、コーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業領域を管掌。また、セールスエバンジェリストの肩書で、主に法人営業と新規営業における、セールスモデルの研究、開発、講演を行う。Twitter/@M_imai_CEREBRIX

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