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なぜドタバタ劇に?トンガ火山噴火でわかった災害大国・日本の新たな課題

―[今週の顔]―

地震と噴火の複合災害に備えよ

今週の顔ニュース トンガ火山噴火

南太平洋の島国トンガ。家屋や木々は厚い火山灰に覆われている。各国からの支援も徐々に本格化している。‘22年1月18日撮影 AFP PHOTO / Defence Public Affairs

「残念ながら観測から発表までかなり時間を要した」  長谷川直之気象庁長官が会見で釈明に追われたのは、東日本大震災以降、あれほど警戒していた津波への注意喚起が後手に回ったからだ。1月15日、南太平洋のトンガ沖で海底火山の大規模噴火と津波が発生。気象庁は当初「津波被害の心配はない」としていたが、実際に潮位の変化が見られたのちに、津波警報と注意報を発表した。

なぜドタバタ劇に?

 今後は発表方法を改善するというが、またひとつ災害対策の課題が浮き彫りになったかたちだ。なぜこのようなドタバタ劇を演じたのか? 防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は背景をこう語る。 「地震による津波とは異なり、海底火山の噴火による潮位変化のメカニズムは複雑で、今回は気圧の急激な変化によって潮位変化が引き起こされたと言われている。ただ、気象庁も『津波』とは言っていないように正確なメカニズムはまだわかっていない。それでも避難を呼びかけるために、津波警報を出すしかなかった。日本近海には多くの海底火山があるので、今後も同じような混乱は起こりえる」  富士山や阿蘇山など、日本列島の活火山も心配だ。 「日本は地震大国。地震により、それまでに蓄積されていたマグマが刺激され、噴火を誘発するという指摘もある。大地震でインフラが断絶されたところに噴火が起これば、火山灰によって自動車や航空機のエンジンにはトラブルが生じるし、吸い込めば気管支系の健康被害も大きい。日本では、地震と噴火が同時に起こる複合災害を常に想定しなければなりません」
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