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ロッカー・吉川晃司(57)が俳優をする理由「ボクサーがプロレスのリングに立つ背水感」

吉川晃司にとって“演じること”とは?

吉川晃司

現在はスペシャルライブ・ツアー中の吉川晃司(Phot・平野タカシ)

 ロッカー・吉川晃司(57)がTBSの連続ドラマ『トリリオンゲーム』(金曜午後10時)と先月末から公開中の映画『キングダム 運命の炎』に出演している。ロッカーである吉川にとって、演じることとは何なのだろう? 本人はこう答えた。 「自分とは違う性質、思考を疑似体験できるということです」(吉川)  1984年のデビュー以来、ほぼ毎年欠かすことなく新曲をリリースし、ライブやツアーに臨んできた。それでも出演を求められ、自分も作品や役柄に興味を抱き、さらにスケジュールが合うと、俳優の仕事も引き受けてきた。疑似体験が音楽づくりにプラスにもなると考えるからでもある。やるからには半端な気持ちでは撮影に臨まない。 「ボクサーがレスリングのリングに立っても、負けるわけにはいかない的な背水感があります。そんな気分になれるのも俳優をやるときの魅力です」(吉川)

刑事から外科医、人斬りまで。幅広い役柄

 異業種の人が俳優をやる場合、どうしても役柄が限定されたり、役柄の幅が狭くなったりしてしまいがちだが、吉川は違う。さまざまな役柄を演じてきた。  ビール会社社長の誘拐を描いた映画『レディ・ジョーカー』(2004年)ではクセ者刑事、同『チーム・バチスタの栄光』(08年)では天才的心臓外科医、同『るろうに剣心』(12年)では凄腕の人斬り、同『秘密 THE TOP SECRET』(16年)では未成年連続自死事件の黒幕をそれぞれ演じた。  また、TBS『下町ロケット』(15年、18年)では反骨のエリート・財前道生に扮し、NHK大河ドラマ『天地人』(09年)では織田信長、同『八重の桜』(13年)では西郷隆盛を演じた。  意識的に扮する役柄の幅を広くしている。吉川は「刺激が得られ、知識も広がる。音楽をやる際の自分へのお土産にもなる」と語る。仕事の選び方が俳優を専業とする人とは異なる。
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『トリリオンゲーム』で見せた新たな役柄
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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