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『キングダム』の政はなぜ中華統一を目指すのか?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第178回 中国『キングダム』という人気漫画があります。中国の春秋戦国時代末期を舞台に、奴隷の身分だった主人公の信が秦の兵士になり、天下の大将軍を目指す時代劇です。  キングダムには『嬴政(えいせい)』というキャラクターがいます。政は秦国の31代国王で、後の始皇帝です。「中華を統一し、500年続く戦乱を終わらせる」という目標を持っています。  幼い頃の政は秦国と戦争をしていた趙国に、人質として引き渡されていました。秦国は戦争の時に、趙国の兵士と捕虜を合わせた40万人を生き埋めにしており、趙国から大変な恨みを買っています。趙国の首都『邯鄲』で人々からその憎悪と暴力をぶつけられる過酷な環境で、政は人生に絶望していました。  そんな彼が一体どうして、「中華を統一し、500年続く戦乱を終わらせる」という大志を抱くようになったのか。そこには「紫夏」というキャラクターの影響があります。  紫夏は非合法な取引を行う闇商人で、「政を密かに秦国に送り届ける」という依頼を秦国の家臣から引き受けます。彼女が依頼を引き受けた理由はお金ではありません。自分自身も孤児で餓死寸前だったところを、たまたま出会った行商に救われた身だったからです。  紫夏は政を逃亡させるために、自分の命を犠牲にします。そしてその死の間際に、「あなたほどつらい経験をして王になるものは他にいません。だからきっとあなたは誰よりも偉大な王になれます」と言い残します。だから、政は誰よりも偉大な王、つまり中華を統一して500年続く戦乱を終わらせる始皇帝になる決断をしたのです。  政は趙国で虐げられていた幼い頃から天才で、その時すでに「中華統一」の発想を持っていたと描写されています。しかし、発想があったからといって、それを実行するとは限りません。また、実行したからといって長続きするとも限りません。キングダムはフィクションですが、決断の過程は現実と同じように描かれています。  決断には人物の影響があります。誰かの言動が喜びや怒りになって、決断を促してくれる。その影響が原動力です。誰かの言動が悲しみや常識になって、決断を妨げてくる。その影響が呪縛です。政にとって、紫夏の言葉は強い原動力になっています。
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政に対する紫夏の言葉
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