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『キングダム』の信はなぜ大将軍を目指し続けるのか?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第177回 中国『キングダム』という人気漫画があります。中国の春秋戦国時代末期を舞台に、下僕の身分だった主人公の信が秦国の兵士になり、天下の大将軍を目指す時代劇です。  信は「天下の大将軍になること」をただ目標にするだけでなく、敵にも味方に繰り返し言い続けています。それはすなわち読者が同じことを繰り返し読まされていることを意味しますが、それでも飽きられずに人気が続いているのは、その言葉に足るだけの理由があるからです。  その理由になっているのが、「漂」というキャラクターです。漂は信と同じ戦争孤児で、信とともに下僕として育ちました。二人は「戦争ですべてを奪われたから、戦争ですべてを奪い返す」と考え、天下の大将軍になることを目指し、二人で剣の特訓に励んでいました。  ところが漂は王子暗殺を巡る陰謀に巻き込まれて、志半ばで命を落としてしまいます。そしてその死の間際で、「俺達は力も心も等しい。二人は一心同体だ。お前が羽ばたけば俺もそこにいる。信……俺を天下に連れて行ってくれ」と言い残します。  信にとって漂は幼い頃から共に育った友人、同じ夢を共有した仲間、その夢のために競い合ったライバルです。このような親しい人物の死は、強い影響を与えます。だからこそ信は「天下の大将軍になる」という決断をして、それを繰り返し言い続けているのです。  このように決断には人物の影響があります。誰かの言動が喜びや怒りになって、決断を促してくれる。その影響が原動力です。誰かの言動が悲しみや常識になって、決断を妨げてくる。その影響が呪縛です。信にとって、漂の言葉は強い原動力になっています。
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遺言が決断の原動力に
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