“カキにあたらない時代”がついに到来か。「中毒の原因」を取り除いた企業の執念
“海のミルク”と呼ばれるほど栄養価が高く、生でもフライでも殻のまま網焼きにしても絶品のカキ。プリッとした食感と芳醇でクリーミーな味わいの虜になっている人も多いだろう。一方で「カキはあたるから」と敬遠している人も少なくない。かく言う私も大のカキ愛好家でありながら数回あたってしまい、泣く泣くカキ食を封印してしまったひとりだ。
しかし最近、ノロウイルスフリーの〈※あたらないカキ〉が注目を集めているという。そんなカキが本当にあるのならば、私のようなカキに“片想い”をしている人にとっては朗報以外のなんでもない。一体どんなカキなのか。本当にあたらないのだろうか。そこで今回は、“あたらないカキ”『エイスシーオイスター2.0』の開発に成功した株式会社ゼネラル・オイスター代表取締役CEO・吉田琇則氏に詳しくお話をうかがった。
※人に害を与えるウイルス、細菌類、貝毒などの病因を含まない海洋深層水を使用した、完全陸上養殖の環境下で生育されたカキで、喫食者の体調・免疫反応による体調変化は除外。外部検査機関によるノロウイルス検査実施済み。
そもそもカキにあたる原因は何なのか。吉田氏によると、カキが体内に取り込んだウイルスや細菌が原因だという。
「カキは1時間に約20リットル、1日で約400リットルの海水を吸い込んで吐き出します。そのため海水中のウイルスや細菌がカキ体内に蓄積されていくので、いくら表面を洗ってもカキ体内に残った菌類は除去できません。それで人間が中毒症状を起こしてしまうのです」(吉田氏、以下同)
2006年にノロウイルスが流行した際には、カキは食中毒リスクの高い食品としてそれまで以上に敬遠されるようになり、ゼネラル・オイスターで運営する飲食店にとっても打撃となった。このことが独自にカキの安全性を高める研究開発に着手するきっかけとなる。
最初に取り組んだのは、紫外線で殺菌した海水でカキの体内を浄化する方法。これでカキ体内のウイルスや細菌をかなりのレベルまで除去することができたという。
「お客さんも徐々に戻ってくるようになりました。ただ、一度汚染されたカキの体内には、微量ながら菌類が残っている可能性もゼロではありません。やはり100%のレベルまで浄化しなければならないと考えたのです」
そこで思いついたのがカキの完全陸上養殖だ。
「人間の生活排水などが完全に浄化されないまま流れ込んでいる海水を使っている以上、食中毒のリスクはゼロにはなりません。ならば最初からそういったものに汚染されていない環境で養殖すればいいのでないかと考えたのです」
あたる原因は「ウイルスや細菌」
「100%浄化した」カキの必要性を感じた
ライター&編集者。日本唐揚協会認定カラアゲニスト。「からあげの聖地」である大分県中津市出身。専門店だけでなく、居酒屋、食堂、スーパーなどで唐揚げを見つけては食べてみる「から活(からあげ探索活動)」を継続する一方、話題食などの食レポ記事も執筆する。
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