日本で消費される「チリ産サーモン」の養殖が海洋汚染を引き起こしている!?
「チリ産養殖サーモン」についてネット上で大論争が巻き起こっている。チリの養殖サーモン“薬漬”の危険な魚で、海洋汚染も招いているという。そこで識者を直撃、現地からの声も交えて徹底検証した!!
チリ産サーモンが“薬漬”の危険な魚だと問題になっているが、もう一つ、「海洋汚染」という問題も引き起こしている。養殖場周辺の海洋汚染は年々深刻化しているという。漁業検査官B氏は「チリ政府による規制緩和で、養殖場が閉鎖しにくくなった」と内部告発をする。政府は養殖業者が有利になるように規制を緩くしているというのだ。
「養殖場の水質検査で測定するのは酸素(濃度)とpH。酸素は海底から1m上の場所で測定し、『4mg以上』であることが必要です。pHは堆積物からサンプルを取り、『7以上』でなければならない。この基準以下であれば、養殖場は操業を続けることができない。3年前までは酸素とpHのどちらかが基準を下回っていれば養殖場を閉鎖できたのですが、現在は規制緩和によって酸素とpHの両方が基準を下回らないと閉鎖できなくなってしまいました」
今年2~3月、チリでは赤潮が発生、2500万尾の養殖サーモンが死亡した。現地の専門家や漁業関係者からは、「赤潮発生の一因に過剰なサーモン養殖があるのではないか」と疑う声が相次いだ。
しかし、チリ政府は「エルニーニョ現象が赤潮の原因だと考えられる」との見解で、養殖業との関連性は認めていない。それに対して、B氏はこう解説する。
「赤潮は、海水の温度と海水中の栄養物の濃度(汚染度)が高い場合に発生します。サーモン養殖場付近はエサの残りやサーモンの糞が放出され、海の汚染度が上がっているので、特に赤潮が発生しやすい場所だといえます」
佐野雅昭教授(鹿児島大学)も「サーモン養殖が赤潮の一因になっている可能性は確実にある」と語る。
「養殖は必ず海を汚すので、一か所で密度の濃い養殖を続けた場合、赤潮や魚病の要因になることは避けられません。すでにチリの養殖産業は魚病がひどくなっていて、非常に危うい状況にあります」
しかも、このとき死んだサーモンの約7割は、チロエ島という先住民が多く住む島の沖に投棄された。その数週間後、大量のイワシや海鳥などの海洋生物がチロエ島の海岸に打ち上げられたのだ。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1145423
島民は「死んだサーモンを海に捨てたことが原因では」「養殖業への政府の規制の甘さが発端なのでは」として抗議している。
国際環境団体「グリーンピース」は、この直後からチロエ島で海洋調査などを始めた。
「海洋生態系の観点から現在のチロエ島周辺の海の状態、そして社会的な側面から、養殖業がチロエ島の先住民にどのような影響を与えているかを調査しています。さらに、今回のサーモンの海洋投棄がチロエ島にどんな影響をもたらしたのかもまとめて発表する予定です」(グリーンピースの現地調査メンバー、エステファニア・ゴンザレス氏)
赤潮発生、サーモンの大量死は過剰な養殖業がその一因か!?
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