「車に傷をつけられた!」自分でつけた傷を整備士のせいに…。元ディーラー営業マンが実際に会った「痛客」3選
筆者はとある日系自動車メーカーのディーラーに4年間勤務していました。ディーラーとしてBtoCの仕事をしていると、さまざまな人に出会い、応対します。高額商品と呼ばれる部類の車屋さんに多様なお客様がやってきますが、全員が「良い人」というわけではありません。
最近のディーラー営業は、働き方改革の影響もあり、勤務体系が徐々に良くなってきたと聞きます。筆者がディーラー勤務していた10年以上前はそのような言葉は一切なく、朝7時に出社し、夜11時頃まで働く「リアルセブンイレブン生活」を強いられてきました。このような勤務体系が当たり前の業界ですから、顧客には個人の携帯電話の番号を教えて日夜やりとりをすることもしばしば。
筆者は先輩社員の教えもあり、「車を買ってくれたお客様」と「定期的に整備入庫してくれるお客様」に個人携帯を教えていました。多くのお客様は常識的な範囲の時間帯に電話をかけてきてくれましたが、「痛客」ともなるとそういうわけにはいきません。早朝だろうが深夜だろうがお構いなしに携帯電話に電話をかけてきます。
ここで登場するのは車を買ってくれたAさんです。Aさんは飲食店を経営している経営者。いわゆる「オラオラ系」な人でした。多くの人が眠りにつく深夜11時半頃、筆者の携帯電話が鳴りました。久しぶりに早く帰ることができ、夕食を済ませて眠りに入っていたので電話に気づかずそのまま朝に。
朝起きたら10回以上の着信があり、何事かと思い、折り返しの電話をしたら電源OFF。とりあえず大丈夫だろうとそのまま出社しました。すると会社の留守番電話を切った直後にオフィスに入電。Aさんからの剣幕の電話でした。開口一番「俺様の電話になぜ出ないんだ!!」と。そのまま上司に取り次いでもらい、事なきを得ましたが、要件は「カーナビの操作方法がよくわからない」といったことでした。
次に登場するBさんも、筆者から新車を買ってくれた顧客でした。Bさんは普段使いの乗用車の他に貨物用の軽バンを所有していました。この軽バンは筆者から購入いただいたものだったのですが、新車納車から1か月で事件が起こりました。国産車の場合、新車を買うと無料の新車1か月点検を受けられます。点検に入庫した際に車の周りを顧客と確認し傷を確認、チェックシートに記入しました。貨物車とはいえ、1か月だから車は綺麗そのもの。キレイずきのBさんは自身でコーティングをかけて大事にしていました。
1か月点検が終わった2日後、店舗にBさんがやってきて「車に傷をつけられた」というのです。ちゃんとチェックして車を預かり、点検後に返したというのに何事かと思い、上司と車をチェック。すると車のルーフ付近にちょっとした凹みができていました。おそらく勢い良く手をついた際に出来たものと思われる凹みだったのですが、チェックシートには記載なし。
Bさん曰く「おたくの整備士がやったんだろう」の一点張り。新車1か月点検ではリフトアップする作業はなかったので整備士はルーフを触るはずがありません。洗車をしているのなら触っている可能性はありますが、「洗車不要」だったので触ることもなく……。しかも目立つ場所にあった凹みなので、すぐに気づくはずです。
あくまでも想像の話ですが、Bさんが点検後に車を洗っているときに足を滑らせたなど何らかの理由でルーフに手をついたのだろう、という結論に至りましたが、ルーフまで車をチェックしなかった筆者と整備士の落ち度もあったので修理費用を店舗で持つことに。「ぶつくさ言わずに払ってくれりゃそれで良いんだよ」という、勝ち誇ったようなBさんの顔は今も忘れられません。
今回は、ディーラーに勤務していた筆者が実際に応対した「痛いお客様」を3例紹介します。「このようなこと、していませんか?」というニュアンスを含めて読者に注意喚起をしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
痛客その1:「時間関係なく鬼電」の自己チュー客
痛客その2:「自分でつけた傷を整備士のせいにする」ありえない客
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埼玉県在住の兼業ライター。大学卒業後、大手日系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。X(旧Twitter):@gengen801
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