【古参vsピンチケ】アイドルファンの間で深まる対立構造
―[古参vsピンチケ]―
“ピンチケ”という言葉をご存知だろうか。そもそもはAKB劇場で中高生向けに安く(通常3000円が1000円引きの2000円)販売されるピンク色のチケットのことで、そこから転じて、最近では“マナーを守らない”または“ガチ恋派”(擬似恋愛ではなく“ガチ”の意)のファンに対する蔑称として使われている。
「アイツら、マジでありえない。ライブで割り込むのはフツーだし、ちょっと注意すると輩みたいにガン付けて凄んでくる。ほとんどフーリガンだよ。アイドルをリスペクトするんじゃなくて、キャバ嬢を口説く感覚で気軽に接するのも許せない。本気で消えてほしいよ」(ハロプロオタ歴12年の古参)
振付けを完コピしたり、ネット上で同志と熱いオタク論をぶちまける、いわゆる従来型のディープなアイドルファンである“古参”に対して、“ピンチケ”はお兄系やオラオラ系など、メンズ109的なファッション。そして今、そこかしこのライブ会場で古参vsピンチケの対立の図式が激化しているという。
「有名ピンチケに通称・魔咲斗という男がいます。ハロプロオタの最大勢力、長谷川軍団の実質ボスといわれる男で、見た目もゴツくて怖い。会場に特攻服姿で現れるなんてザラですから。以前、ライブ会場となった中野サンプラザでオタ同士が小競り合いになったとき、古参オタをちぎっては投げ、ちぎっては投げといった具合にカラダに触れさせることもなく、最強の名をほしいままにしてます。僕らの世界では、関東連合よりも恐ろしい存在、それが長谷川軍団です」(同前)
小競り合いになった発端は、古参が長谷川軍団のひとりを嘲笑するような発言をしたことだというが、乱闘沙汰になって勝ち目がないにも関わらず、そのような挑発行為をするほどに敵対関係を強めてしまったのは何故か。
「最前列を強引に確保するような行為も、サムライさん(侍のような風貌をした有名オタ。生放送ライブの後ろで、そのアイドルの振付けを無表情でこなす姿は動画でも確認されている)のように自己完結型のオタであればいいんですよ。本来は御法度であるはずのアイドルとの色恋の臭いをプンプンまき散らしていることが、ピンチケに対する嫉妬となって爆発してるんです。その感情が最大に高まったのは、やはり、かの有名なスマイレージ焼肉事件でしょう」(同前)
「かの有名な~」とはいうが一般的にはまるで伝わっていないこの事件、その経緯を簡単に説明しよう。
スマイレージライブ会場。最前列に居座るピンチケ軍団に対して、「スマイレージが軍団に対して、優先的に投げキッスをしたり、声援に応えてるのでは?」という疑惑が広がる。
⇒癒着関係を証明すべく、不特定多数のオタがスマイレージ、そしてピンチケ軍団のブログ漁りを始める。そのうちスマイレージの公式ブログの中で、「これは軍団とスマイレージだけにわかる暗号文ではないか? 私信のやりとりではないか?」という疑惑から、暗号解析の科学捜査班が立ち上がる。
⇒ピンチケ軍団のブログとのスマイレージメンバーのブログに書かれている意味不明な内容が、時系列的にみても符号すると判断できるものが多数あるという結論に。
⇒そんななか、同時期にスマイレージ、軍団双方のブログに、誰に対しての発言ともとれない、こんなメッセージ(文は暗号解析後のもの)が書き込まれる。
スマイレージ「焼肉行こうよ、Yちゃんも一緒に」
軍団「焼肉忘れるなよ、Kくんとは別で行くわ」
スマイレージ「わたしいまめっちゃ食いたい。意地でもついていきます、おーい」
軍団「叙々苑予約完了なう」
このことから、件のピンチケ軍団を“焼肉軍団”と命名。そして、「アイドルと焼肉デートかよ!」と他ファンの嫉妬心は頂点に達する。
というのが、オタの間で「劇場型ミステリー」といわれている焼肉事件の経緯だ。この暗号解析チームには自称・数理学者のオタも参加していることから、信憑性は高まる。端から見れば、粘着的な一部ファンの妄想とも悪ふざけとも思える。
「僕をはじめとする古参にとって、アイドルは愛でるもの。友達感覚で馴れ馴れしく接したり、恋愛対象にするなんてもってのほかです。オタの領域を逸脱したような行為には、断固許すまじの立ち位置を崩しませんよ」(同前)
発言の節々にアイドルとピンチケとの色恋沙汰を意識した言葉が並ぶが、記者としては、アイドルと一般ファンの間にそうした関係が成立するとは到底思えない。
これまで、古参のコメントをもとに古参vsピンチケの図式を解説してきたが、この度、ネット、メディアでもなかなか見えてこないピンチケのコメントを入手することに成功。彼らが思うアイドル観、ファンとしての姿勢、そして古参に対する意識などを、【後編】でお伝えしよう。
【後編】『ピンチケが激白!「アイドルは“狙い目の女”です」』に続く⇒https://nikkan-spa.jp/306011
<取材・文/スギナミ>
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