世界のエネルギーの趨勢は天然ガスに
― 企業の自家発電能力だけで原発60基分!! 【2】 ―
原発の約2倍の熱効率を達成する天然ガス、太陽光発電etc.はスゴイ実力。
しかも電気代も安い!!
電力不足が騒がれる昨今、注目を集めているのが、液化天然ガス利用のコンバインド・サイクル方式発電。そのほか、現在日本に存在するエネルギーをかき集めたら、いったいどのくらいあるのか?を検証。
◆世界のエネルギーの趨勢は天然ガスに
ところで、日本の電力会社としてはGTCCによる発電をどう位置づけているのか? 国内10電力会社の連合体である電気事業連合会広報部の工藤孝太郎氏に聞いた。
「国内すべての電力会社は火力の中でも石炭、石油より二酸化炭素排出の少ない液化天然ガス(LNG)によるGTCC導入について前向きといえるでしょう。供給力を『ベース』『ミドル』『ピーク』と分け、燃料単価が安い原子力でベース(水力・地熱も)を作り、そのうえで電力需要の日間変化に応じた調節を石炭、LNG火力で行い、ピーク時は石油と揚水式水力で対応するといった複合形態で需要に応えています」
日本ガス協会企画部の植草伸幸氏はこう解説する。
「今年3月、オバマ大統領は『新しいエネルギー源の第1の選択肢は天然ガス』『米国にはシェールガスが100年分ある』と演説。また国際エネルギー機関は6月、世界のエネルギー動向を概観した『ガスの黄金時代は来るのか?』という報告を出しました。在来型ガス確認埋蔵量は63年とされていましたが、シェールガスなど非在来型天然ガスを加えると回収可能な埋蔵量は250年分あると算定されたのです」
可採年数では、石油42年、ウラン100年、石炭122年をはるかに上回る資源に躍進した。
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団)の特別顧問でガスエネルギーに詳しい石井彰氏は次のように言う。
「スリーマイル島原発事故以後、米国が新規原発を造っていない理由は、安全面の不安もありますが、原発の建設費が高すぎて採算が取れないからです。土地代を除けばGTCCなら原発1基の標準的な出力100万キロワットなら500~700億円でしょう。原発とは1桁は違うはずです」
日本の原発の建設費用は1基3000億~5000億円といわれている。そこに事故時の損害補償や、新たな津波・地震対策費や立地促進のための補助金、放射性廃棄物処理費用まで加えたら莫大な額がかかってしまう。
「日本は石油価格連動型の長期契約価格で天然ガスを世界一高く買っています。原発をすべてGTCCで代替した場合は、今まで使っていたものを止めるので確かにコスト増になりますが、少なくとも新規計画の14基分についてはGTCCに切り替えたほうが安上がりだと思います」(石井氏)
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