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中国・深センで「iPad mini密輸団」をスクープ撮!

密輸団 世界の一部地域で11月2日に発売となったiPad mini。一方、今やアップル製品にとって最大の市場となっている中国では今なお未発売のままだ。ところが現実には、各都市にある電気街やインターネット上では、主に香港から流入した並行輸入品が大量に流通している。  その裏には、中国から香港にハンドキャリーで端末を持ち込む、いわゆる転売ヤーたちの暗躍がある。ドラゴンガジェット編集部では、そんな彼らの流入経路の一端を撮影することに成功した! 「密輸iPad miniの受け渡し拠点となっている場所がある」  そんな情報を元にたどり着いたのは、大陸と香港を結ぶ出入国検査場「福田口岸」の真向かいにある、ごく普通のレストランだった。
密輸団

iPad miniの密輸団が根城にしていたレストラン

 店内を見渡すと、ひとりで4人がけのテーブルを占有し、食事が終わっているにもかかわらず、居座り続けているショートヘアの女性客を発見した。  怪しいと感じた筆者は、彼女の斜め後ろの席を陣取って、張り込みを開始した。するとまもなく、3人組の男女が入って来て、ショートヘアの席に座った。すると言葉を交わすこともなく、彼らはそれぞれ手荷物から白い小箱を取り出し、周囲を気にしながら机の下でショートヘアに渡したのだった。その小箱には、「iPad mini」と黒文字ではっきりと書かれてあった。 ⇒密輸団の様子【画像】はコチラ
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 中年女性が店から出て行くと、今度は入れ替わりに男子大学生風が店に入ってきた。彼もやはりショートヘアの向かいに座ると、リュックの中から手早く白い小箱を3つ取り出すと、机の下で彼女に手渡し、素早く立ち去っていった。  筆者が30分ほど張り込みを続けたところ、8人が彼女のもとを訪れ、1人につき1~3箱を渡して立ち去っていった。その場での金銭の取引がなかったことから、彼らはおそらく、ひとつの転売組織に属していると見られる。  その後、彼女のもとに恰幅のいい男女がやって来ると、なにやら3人で広東語の会話を始めた。彼らは転売ヤーをまとめる「組織」の幹部のようだった。その内容は詳しく聞き取れなかったが、そのアクセントから彼らは香港人であることが分かった。香港では、ガジェットや食料などが大量に中国に並行輸入されて品薄状態になっており、中国人への反発を招いている。ところがそんな転売行為には、香港人自身も加担しているようなのだ。  しばらくすると、ショートヘアは2人を残し、3つのスポーツバッグをパンパンにして店を出た。すぐに尾行を行ったところ、彼女はすぐ近くのマンションの中へと消えた。そして5分後、空になったスポーツバッグを抱えて再び姿を現すと、同じレストランへと入って行ったのだった。彼らの組織はおそらくこのマンションを、密輸品の倉庫として使っているのだろう。  中国で売られている並行輸入のiPad miniは、最もハイグレードなWi-Fi+Cellular 64GBモデルで7000元前後(約9万円)と、香港での販売価格のおよそ4割増しだ。現在、中国当局は香港からのスマホなどの電子機器の密輸急増に対し、課税を強化している。課税額は20%とベラボーに高いのだ。紹介したような密輸によって税関での課税を逃れれば、その価格差の大部分は彼らの儲けとなる。そんな利ざやの大きさを見れば、多くの構成員や専用の倉庫まで擁する彼らの組織の規模もうなずけるというものだ。一国二制度で隙間を突き、恩恵にあずかる密輸組織が多いのだ。 【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部】 ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州、ニューヨークを拠点に、最新の話題をお届けする。(http://www.dragon-gadget.com/)
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