内藤大助、自らの最短敗北記録を振り返る

バレンティンの本塁打、マー君の連勝など、新記録で盛り上がったプロ野球。しかし、スポーツの世界には逆の意味ですごい「ワースト記録」がある。野球、サッカー、ゴルフ、ボクシング、競馬など、さまざまなスポーツのワースト記録をひもときつつ、その当事者にも直撃取材!

◆[ボクシング]部門

内藤大助

内藤大助オフィシャルブログ「最短男の最短日記」より

「あのときの記憶は飛んでるんだよね」と、’02年にタイで行われたWBC世界フライ級タイトルマッチを振り返る内藤大助氏。開始34秒でのKO負けは同タイトル戦史上最短記録。「意識が戻ったとき、関係者が僕を囲んでてね。状況が呑み込めず『あー、オレ試合だよ!!』って叫んだら、トレーナーに『もう終わったんです』と言われて……。それでもよくわかってなかったの」

 実感が伴ったのは帰国後。空港で迎えてくれるマスコミやファンは誰一人いない。翌日、新聞を開くと見出しに大きく「最短KO記録」と載り、ネットを見れば「日本の恥」との書き込みが……。

「あいや~と思ってね。でも、別に頭にくるとかはなかったな。みんな期待してくれてたからこそ、厳しい意見を言うわけですから。ただ、負けた途端に大勢の人が離れてったのは寂しかったけど、反対に数少なくても残ってくれた人もいたのよ。また観に行くよ、応援するよって。うれしくてねぇ。この人たちを喜ばせたいと再起を誓ったんだよね。その後、日本どころか世界タイトルまで獲れた。結果論かもしれないけど、あの試合があってよかった、あれが原動力になったと今なら思えます」

 そう話す内藤氏だが、実は’04年の日本フライ級タイトル防衛戦では1R24秒で今度は逆にKO勝ちという日本タイトルマッチ史上最短記録も持っているのだ。

◆国内試合での最短KO記録は、わずか8秒

 やっぱ、同じ最短でも勝利は気分いいもの?

「いや、僕自身は何とも思ってないです。ただあの試合で覚えてるのは、相手が倒れて立ち上がらなかったとき、『やっと終わったー』って。24秒でもすっごく長く感じたんだよね。初防衛ってことでプレッシャーがものすごかったんでしょうね。マスコミには『今度は勝ちで最短だ』とか書かれたけど。で、自分で『勝っても負けても最短男』ってキャッチフレーズつけたんですよ。僕らは人に覚えられてナンボ。山あり谷ありのほうが注目されますからね(笑)」とは、なんというポジティブさ! ただ、最短記録敗者になっちゃった相手選手は複雑かも……。

 さらに国内では、わずか8秒でKO負けという日本ボクシング史上最短記録がある。’05年に行われた星野泰幸選手のデビュー戦だ。所属する相模原ヨネクラジムの幡野光夫会長によると、「当時は別のジムにいたんだけど、近所なのでスパーリングには来てましてね。才能のある選手と思っていたので、新聞を見て(最短KO負けと)知ったときはびっくりしました」。

 同ジムに移ってからも「そのことには触れないようにしてきた」らしいが、「普通なら8秒KO負けしたら立ち直れない。そこを乗り越えて頑張ってきて、現時点で5勝(4KO)5敗1分の成績ですから。僕はもっと実力を出せる子だと思ってます」と明言する幡野会長。ワースト記録になっても前傾姿勢のボクシング選手たち……さすが皆さん打たれ強い!

― スポーツ[ワースト記録]大全【4】 ―

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