競馬場に向かった健太と神は…?連続投資小説「おかねのかみさま」

 みなさまこんにゃちわ大川です。

 涼しくなりましたね。半ズボンでの外出がずいぶん恥ずかしい季節になりました。

 前回から始まりました、『俺から目線』スピンオフ企画

『おかねのかみさま』

 さっそく第二回をお送りします。

 ⇒第一回「フツーの若者が“億”を稼ぐ方法を謎の老人が指南」

 メリハリのない大学生活を送る健太の前に突然現れた白髪の老人。

 彼は自ら『おかねのかみさま』を名乗りつつ、健太の余命半年分と引き換えに50万円を差し出した。健太は見たこともない大金を手にして、なにをどう使っていいかわからない。

「そ、いや、え?じゃあ、なにに投資したらいい? 株? FX? 俺、パチンコしかしないからほんとになんにも知らないんだよ」

「そうかー。そうだな、じゃあ、競馬場でもいこうか」

「ケイバ!?」

〈第2回 ぱっぱか走れ〉

ダァシエリイェス!!ダァシエリイェス!!

「…」
「…」
「あのー」
「はい」
「電車で行くんですね」
「べんりだからねー」

「…」
「なによ」

「いや、もっとこう、神様なら、ジャンプしたら現地とか、ワープ的なこととかできるのかなーっておもって」
「いやいや、そういうふうにカミサマに対して全能を期待するのが君ら貧乏人の悪い癖です。と思ってます」
「!!」

「ひとには良い面も悪い面もあって、できることもできないこともある。それは世の中のすべてのものにあてはまることで、よく考えたらあたりまえのことです。だけど君らは一度誤解したら簡単に理解できるほうを選んで、それ以上考えようとしない。だかr…」
「あ、ついた」
「ひとの話を」
「ひとなの?」
「かみさまです」
「こっからどっちですか?」
「あっち」


 2人は立会川から大井競馬場に続く道を仲良く歩く。


「でもさ、50万円持って競馬場に行くって思うと、なんかこう自分がもう生まれ変わったみたいな気持ちになるもんですね」
「そうかな」
「うん。バイトの給料だっていつもそのまま飲んでたし、授業料だって親が振り込んでくれるから、こういう厚みのあるお金を持ち歩いたことがないんです」
「へー」
「へー。て。もっとこう、カミサマみたいに褒めたり励ましたりしてくださいよ」
「カミサマは大体見てるだけなんです」
「そんなもんですか」

 大井競馬場に到着する2人。

「さ。つきましたね。けんたくん」
「はい。まずはどうしたらいいですか?俺、ほんとに競馬はじめてなんです」
「はい。ココに来たテーマは、『視野を広げる』です」
「視野?」
「えぇ。オカネは、視野と器量の狭いひとがだいきらい。これから投資を始める前に、その点をガッツリ体験してください」
「わ、わかりました。どうすればいいですか」

「今日ここでは12回のレースが行われ、145頭のおうまさんが走ります。どのおうまさんに賭けてもいいので、その50万円を増やしたり減らしたりしてください」
「減るのはやだなー」
「ごもっとも」
「減らさない方法は教えてくれないんですか?」
「馬鹿」
「けち」

「それでは僕はこのグッドラックカフェでオムライス食べてるので、グッドラック」
「わかりました…。ここからが俺の人生のはじまりってわけですね」
「そうとも言うね」
「よーし。じゃあ!いってきます!!!」

 新しい人生に走りだす健太、見送る神、青年が馬券売り場への角を曲がるのを見送って、神は食券を買いに行く。オムライスとは言ったものの、ジャーマンポテトも捨てがたい。おやおやシーザーサラダなんかもある。迷っちゃう。あー、単品ポークジンジャー。生姜焼きのことをポークジンジャーというのはいただけない。でも買うか。オカネあるし。ピピ。

「オムライスすこしお時間いただきます!」
「ごゆっくり」

 まっ平らなテーブルでオムライスと生姜焼きとジャーマンポテトとサラダを待つ神。

「健太はちゃんと調べてるかな。あいつ馬鹿だから調べないで買ってるかもな。だけど勝つのも負けるのも経験だし、まだ寿命ありそうだからなんとかなるでしょ」

 キャンディクラッシュをしながら健太を待つ神は、どこから見ても地方競馬ファンである。

「あのー」
「ウワオ!」

「まけました」
「早!!!」
「すみません…」

「ぜんぶ?」
「ぜんぶ」

「ばかだねー」
「…」

「なんておうまさんに賭けたの?」
「………キープレフトです…」
「げらげら」
「………」
「もっかい言って」
「キープ、レフトです…」
「ぶー!!!」
「わらうな!」

http://db.netkeiba.com/horse/result/2013109155/

「失礼。で、どうする?」

「どうするって…、俺、もう賭けごとは向いてないとおもうよ。やめる。もうやめる」
「あー。いいですね。その気付きは」

「おまたせしましたー」

「こんなに食うの?」
「はい。けんたくんもたべる?」
「いただきます…」

「ま、今回は勝っても負けてもいいんです。今日のテーマは視野の広さでしたから。そして、実はもうひとつテーマがあるんです」
「もうひとつのテーマ?」

「はい。『投資とギャンブルのちがい』です」

「投資とギャンブルの………ちがい???」

【大川弘一(おおかわ・こういち)】
1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。

Twitterアカウント
https://twitter.com/daiokawa

2011年創刊メルマガ《頻繁》
http://www.mag2.com/m/0001289496.html

「大井戸塾」
http://hilltop.academy/
井戸実氏とともに運営している起業塾

〈イラスト/松原ひろみ〉

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