ヤクザを描いた映画や漫画、本職の人はどの作品がお好き?

 山口組の分裂がメディアを賑わせている。暴排条例などの影響で、「反社会勢力」とされてはいるものの、こと日本のカルチャーを振り返ってみれば、映画に小説にマンガにと「ヤクザ」や「任侠」の世界はある種の大衆娯楽として根付いているのも否定出来ない事実である。

 しかし、数多ある「ヤクザ」の世界を舞台にした娯楽作品、本職の人々の目にはどのように映ってきたのか?

 最新刊として『ヤクザ専門ライター 365日ビビりまくり日記』(ミリオン出版)を上梓したばかりのジャーナリスト、鈴木智彦氏に、「本職に愛されたヤクザモノ娯楽作品」というテーマで寄稿していただいた。

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『ヤクザ専門ライター 365日ビビりまくり日記』 ハードディスクやDVDが普及する以前、ヤクザ事務所のテレビ棚にはあれこれヤクザ映画のビデオテープが並んでいた。

 よく見かけたのが『仁義なき戦い』と『ミナミの帝王』だ。

 前者は解説不要の実録映画の名作だから理解しやすい。

「月一で『仁義』(正反対の意になるが、こう略すヤクザが多い)を観ないと調子が悪い」とまで言う組長もいて、彼の一押しは四作目の『頂上編』だった。

 往年の任侠映画世代にも『仁義なき戦い』ファンは多かったように思う。

「つまらん連中が上に立ったから、下の者が苦労し、流血を重ねたのである」(原案になった 美能幸三の手記の最後の一文)という作品のテーマは、ヤクザにとって身につまされるものなのだろう。

 後者の主人公は金融業者だが、法律が緩かった当時、金融はヤクザの太いシノギだったので、馴染みがあったためではないか。山陽道の某組織には、事務所に泊まるたび『ミナミの帝王』を夜通し鑑賞し、朝方、主人公になりきってしまう組員がいたが、残念なことに自殺してしまった。

 現在、どの事務所にいってもみかけるのが、『ドンケツ』(少年画報社)というヤクザ漫画だ。去年、全国のヤクザたちにアンケートをとった際も、ダントツの人気を誇っていた。元来、ヤクザだからといって、ヤクザ作品ばかりを鑑賞するというわけではない。にもかかわらずここまで現役から支持される作品も珍しい。

 私が個人的にハマった作品に、『囀る鳥は羽ばたかない』(大洋図書)というヤクザBLがある。男同士の恋愛・セックスがテーマなので、現役ヤクザは拒否反応を示すと予想していた。事務所を回って組員や幹部に読んでもらったところ、思った以上にウケがいい。

「ヤクザなんて精神的にはホモだからな。続きが出たら差し入れしてくれ」

 指名手配となった某組長は、行きつけの女性彫り師にそう依頼したそうだ。名作であることは間違いない。

(文/鈴木智彦)

すずきともひこ●フリーライター、ジャーナリスト。著書に、『ヤクザ1000人に会いました!』(宝島社)、また最新刊に『ヤクザ専門ライター 365日ビビりまくり日記』(ミリオン出版)がある

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