免許証の住所変更で逮捕!? 警察に脅かされるヤクザたちの日常生活
暴力団対策法、暴力団排除条例が全国にあまねく敷かれ、ヤクザは減少の一途。しかしその「“法”囲網」は彼らの日常生活にも侵食し、生きる権利を脅かすほど過剰だとも。当事者のヤクザの声に耳を傾けてみた
●田中清氏(仮名)…50歳、広域暴力団3次団体組長。数十人の組員を束ね、その人望も厚い
「どこで警察が目を光らせているかわからないから、立ち小便すらできない時代。昔は警察が組事務所に来るときは事前に連絡をくれていたのに、今は突然やって来るから日常生活すらもままならない状態だ。趣味や娯楽もしかり。組員など仲間ウチで開いていた賭け麻雀も、いつ警察が来るかわからないから自粛しているよ」
幹部組員となると、当局との軋轢は末端組員の比ではない。警察は事務所や住居の家宅捜索を目論み、生活全般のあら探しをしてくると広域暴力団3次団体・田中清組長(仮名)はぼやく。
「つい最近の出来事で言えば免許証。住所変更した際、一般の人は免許証の更新時に住所変更の手続きもするでしょう。私も更新時に手続きすればいいと思っていたら、現住所と違うということで『免状不実記載』の罪で逮捕された」
一般人なら黙認される些細なことでお縄に……。これが警視庁や県警に登録されている「指定暴力団幹部」の現状だ。住居は持ち家のためなんとか保障されているが、末端の組員を抱える“親の身”としては胸が痛いことも多いとか。
「みな貧乏で日々の生活で精いっぱい。大したカネを持っていないから、銀行口座を開けないという心配は無用だけど、とにかく部屋が借りられないから、事務所に住んだり、車中で寝泊まりしているヤツらもいる。ホームレスと変わらないよ。女の家に転がり込めばその女が『ヤクザを匿ったとして』パクられる。女の家に住民票を移してもダメ。もちろん住民票を移さなくても『住所変更を怠った』という免状不実記載でパクられる……」
まさに八方塞がり。それでもヤクザという看板にしがみつくのには訳があるという。
「ヤクザになるヤツっていうのは結局、世間からのはみ出し者なんだ。若い頃から罪を犯したり、暴走族だったりと、要は不良なの。その延長線上にはヤクザという“履歴書がいらない社会”があった。昔は彼らを受け入れる社会があったけど、これからの不良は大変ですよ。結局、半グレみたいなヤツらがウジャウジャ出てきて、むちゃくちゃやるようになった」
ヤクザという看板を背負いながら、社会の片隅で生きていくことはもはや不可能なのだろうか。
「飲食店や、土建屋でシノげているのはひと握り。工事現場ですら雇ってもらえない末端の組員は犯罪に走るしかないよね」
― ヤクザの主張「俺たちに人権はないのか」 ―
当局の監視の目に晒され、免許証の住所変更でお縄
【関連キーワードから記事を探す】
日本映画は昭和~平成を経てどう変化したのか?
組を抜けたヤクザたちの「厳しい再就職事情」
現役極道たちは冥土に行くのも一苦労!? 葬儀場が借りられない現実
現役ヤクザたちの嘆き「家も駐車場も借りられない。クルマはコンビニに停めている」
免許証の住所変更で逮捕!? 警察に脅かされるヤクザたちの日常生活
44歳「長すぎたヤクザ人生」の先に待っていた結末。生活保護を受給するも“NPOを名乗る人物”に搾取される日々
20歳で稲川会系組員となり、35歳で破門になった男が語る「元ヤクザの意外すぎる暮らし」
暴力団から“飛んだ”48歳のその後。流転の末、日雇い暮らしに…組の人間の追跡に怯える毎日
〝華麗〟な老後生活を送る、60代元暴力団員。「ヤクザが力を失ったからこそチャンスがあった」
暴力団関係者が話す、ホームレスを奪い合う“補助金の不正受給”の実態
神戸山口組系組員を射殺したヒットマンの正体は?【防犯カメラ映像をスクープ入手】
ヤクザが「MRI検査」を受けられない意外な理由。病院で治療も受けられない!?
免許証の住所変更で逮捕!? 警察に脅かされるヤクザたちの日常生活
山口組分裂抗争ではネット部隊が暗躍!? 組員が語る「仁義なき戦い」
優柔不断が仇となる? 任侠界に噴出する「神戸山口組組長失望論」の深層
抗争劇は最終局面へ…六代目山口組から見た“造反2組織”の内部事情
ヤクザの家族が直面する壁…潔癖主義の社会で「ここまで追い込まれるなんて」
「早晩、消滅するだろう」…六代目山口組系幹部が語る“第三の山口組”の行く末
組織を辞めた“ダメ”ヤクザのその後…カタギになるも「チンピラはチンピラにしかなれない」
『ネコノミクス宣言 完全版』発売記念 猫組長が語る“指詰めの起源は源頼朝説”とは?
「車のナンバーは8888とかゾロ目がいい」ヤクザ流の開運伝説
「パパは背中に絵があるの」部長の子どもの発言に凍りついた夜
半グレよりも稼げない…ヤクザが「メルカリ詐欺」にまで手を染めたワケ
暴力団、詐欺師、殺し屋にも“職業病”があるのか聞いてみた
ハッシュタグ