松山ケンイチが超問題作『珍遊記』主演の真相を明かす「今の時代、挑戦させてくれる作品が少ないので」
その高い演技力から“憑依型俳優”、“カメレオン俳優”の異名をとる松山ケンイチ。弱冠30歳にしてすでに大河ドラマの主役を経験し、役になりきることにかけては右に出る者がいないことから多くのマンガや、小説の映像化にかかわってきた。そんな若手随一の演技派が新たに挑んだ作品、それが『珍遊記』だ。下品極まりない不条理ギャグ、ほぼパンツ一丁の風貌など、まさに’90年代を代表する“超問題作”だが、なぜ彼はこの作品を引き受けたのか? そこには、“憑依型俳優”ならではの、たしかな覚悟があった――。
「まさかの!」という言葉が、これほど似合う映画もない。伝説のギャグ漫画『珍遊記』が映画化されたのだ。しかも主演は松山ケンイチというから、徹頭徹尾のまさかっぷり。だが、ある意味においては「まさに!」な適役なのかもしれない。映画『デスノート』のL、『デトロイト・メタル・シティ』のヨハネ・クラウザーⅡ世、ドラマ『銭ゲバ』の風太郎、『ど根性ガエル』のひろしなど、漫画原作の実写化で怪演、高い評価を獲得してきた俳優だからだ。あの“怪演”はいかにして生まれるのか? 松山ケンイチ流の仕事論に迫った。
――まさかの『珍遊記』実写映画化には、度肝を抜かれました。
松山:僕もです(笑)。僕が演じた山田太郎には育ての親というか、育てのじじいとばばあがいるんですけど、ばばあ役が笹野高史さんですから。ばばあなのに男かよって、台本を読んだときから衝撃でした。
――漫画原作の山田太郎は、丸顔のぽっちゃり型。いわゆる役作りのアプローチはどのように?
松山:今回はね、映画自体がこんなんなんで(笑)。こんなんっていうか、このようなものなので、造形的に近づけるのはかなり難しい。衣装やメイクの効果はともかく、僕が脚を短くするとか、顔を丸くすることはできない。なので、イメージとしては植木等さんの無責任男の軽やかさと、『七人の侍』の菊千代の野性味をヒントにした感じです。
――漫画原作を演じるのは、コアな読者の反感などのリスクもあると思います。断るという選択肢は?
松山:そうですよね。そうなんですけど、漫☆画太郎さんの作品で、監督が雄大さんっていうのは、ある意味で挑戦。好きなんです、チャレンジするのが。なかなか今の時代、挑戦させてくれる作品が少ないので。
――そもそも、松山ケンイチ流の仕事選びの基準とはどのようなものでしょうか?
松山:うーん、とくにないかもしれない。ひとつだけあげるとするなら、人との繋がりです。雄大さんとも『ユメ十夜』でご一緒して、それ以降、個人的に連絡を取るようになって。監督だとSABUさんや崔(洋一)さんともそうで、そういうコミュニケーションの繋がりから生まれるものがあるのは間違いないです。休日は誰とも会わないで全部自分だけの時間、みたいな感じでいるよりは、外に出たり、人と会ったりすることで繋がっていくというか。
――その考え方はデビューした時から?
松山:いや、以前は「自分の時間は大切にしたい」って思っていました。変わったのは、『うさぎドロップ』に出てからですね。子育て映画なんですけど、「家族のために自分の時間を犠牲にしているなんて考えるけど、家族でいるのも自分の時間として過ごすほうがいい」って印象的なセリフがあって。それ以降、オフの過ごし方ひとつとっても変わりました。一見ムダに思えることがなにかに繋がることって確実にあるって。
※このインタビューは週刊SPA!3/8号のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
<取材・文/唐澤和也 撮影/寺川真嗣 スタイリング/五十嵐堂寿 ヘアメイク/勇見勝彦(THYMON Inc.)>

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