安倍首相のお膝元・山口県で総額1兆円を超える“ムダ事業”が進行中
安倍晋三首相の父の晋太郎氏の故郷で、安倍家のお墓がある長門市を訪ねると、日本海の過疎地域を結ぶ「山陰自動車道」(山口県美祢~鳥取市)工事が着々と進んでいた。山陰自動車道の一部となる「長門俵山道路」の建設現場で、巨大な橋梁が目の前に飛込んできた。
第二次安倍政権誕生翌月の’13年1月。中尾友昭・下関市長は、次のような安倍首相発言を紹介した。
「(自分が)総理大臣になったから(公共事業が増えて)下関は良くなりますよ」と強調、「山陰自動車道」と「第二関門橋」の建設を挙げ、「国交省OBの山本繁太郎知事(当時)が誕生したのだから必ずできます」
第一次安倍政権時代の’06年にも安倍氏は、父親の晋太郎氏の生まれ故郷・長門市の支援集会で「山陰自動車道は必要でしょうし、インフラ整備、基礎的な基盤をつくっていくのも政治家の大きな使命」と公言。
‘12年7月の山口県知事選では安倍氏自身が先頭に立って、肺ガン患者の山本知事を擁立・支援した。両者は「山陰自動車道の全線開通」で一致。県知事選で安倍氏が「建設国債発行と日銀買い取りによる積極的な公共投資が必要」と訴えると、山本氏も「県内の産業の再起動には、港湾や道路のアクセスなど基本的な(インフラ)環境整備を最大限の努力で進めなければならない。最優先で取り組む覚悟」と決意表明した。
一部完成した「山陰自動車道」の予定地を走って行くと、費用対効果が低いことが実感できた。一帯は人口も交通量も少ない山間部で、巨大橋梁やトンネルの連続。開通した「三隅萩道路」(長門市~萩市)の15kmで、建設費は709億円(1km当たり約46億円)にも達している。
この“安倍道路”を延長するべく、「長門俵山道路」の工事もスタート。この区間も山間部が建設予定地で、5.5kmの事業費は240億円(1km約44億円)にも及ぶ。「山陰自動車道」の未開通区間1100kmを建設するためには、約4500億円が必要となる計算だ。
この山陰自動車道をはじめ、第二関門橋(約3000億円)、岩国基地関連事業(3000億円以上)、安倍政権で予算が急増した平瀬ダム建設(約750億円)など、総額1兆円を超える“ムダ事業”が進行中だ。3/8発売の週刊SPA!「アベノミクスで復活した[ゾンビ事業]ワースト10」では、これら山口県内の事業のほか、いま話題の大戸川ダム、全部完成するには2.2兆円かかるというスーパー堤防、二階俊博総務会長の地元・和歌山で建設中の紀伊半島一周道路など、10の“ムダ事業”の現場をリポートしている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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