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石破茂氏の発言で懸念広がる加計学園の「バイオハザード問題」

 国会で大問題となっている、今治市(愛媛県)への加計学園獣医学部新設問題。安倍首相の口利きがあったかどうかという問題とは別に、新たな不安材料が地元住民や研究者たちの間で囁かれているという。

石破茂・元防衛大臣(前地方創生大臣)

 7月4日、テレビ番組に出演していた石破茂・元防衛大臣(前地方創生大臣)から衝撃的な発言が飛び出した。  石破氏が地方創生大臣だった’15年、獣医学部新設の4条件として閣議決定した「条件」のひとつに「既存大学では対応困難な『新しいニーズ』があること」というものがあった。この具体例として、石破氏は「感染症とか生物化学兵器への対策とか、新しいニーズが出てきたと説明すれば、(国民は)そうだそうだと(納得する)」と番組で説明したのだ。  さらに石破氏は6月2日投稿の「政策コラム」(ブログ)でも、加計学園の獣医学部新設問題について「感染症対策や生物化学兵器に対する対応などの『新たなニーズ』が明らか」と書いていた。

「世界最先端のウィルス研究をやる」と学部長が発言

今治住民会見

加計学園のバイオハザード問題への不安を訴える市民団体「今治加計獣医学部を考える会」共同代表の黒川敦彦氏(右)と武田宙大氏

 「今治加計獣医学部を考える会」共同代表を務める黒川敦彦氏は、加計学園の研究体制に不安を抱いている。 「新設される獣医学部にはバイオセーフティレベル(BSL)3の施設を設置する計画ですが、市からは『BSL2程度の研究しかしないから大丈夫です』という説明を聞いていました。ところが獣医学部長に就任予定の吉川泰弘教授(千葉科学大学危機管理学部)は、『世界最先端のウィルス研究をやります』とプレゼンで発言、そのウィルス研究の中には、BSL3のウィルスも入っているんです」  獣医学部の施設は住宅密集地に隣接している。万が一、バイオハザード問題が起きた場合の感染者の収容や治療体制が不可欠だが、「住民側と、安全面での説明や協議がされていない。情報が開示されていない」(黒川氏)という。  その施設の構造についても疑問の声が上がっている。BSL3施設は完全密閉を要求され、排出される空気もあらゆる廃棄物も施設内で処理して無害化することが求められる。しかし吉川教授は、「通常のBSL2以下の施設の部屋の真ん中にBSL3コーナーをつくる(共同利用する)」と発表したのだ。  6月13日の厚生労働委員会で民進党の川合孝典参議院議員は、これに関して「BSL3施設を住宅の近くや、学生寮のあるビルの中に置くなんてありえない」と追及している。  さらに獣医学の専門家の中からは、加計学園が生物化学兵器への対応について研究することへの懸念も出ている。  『週刊SPA!』8月1日発売号掲載記事「加計学園とバイオハザード問題」では、住民だけでなく獣医学者をはじめ研究者の中にも「加計学園が危険なウィルスを扱うこと」への不安が広がっていることをリポートした。 取材・文・撮影/横田 一 写真/時事通信社
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
週刊SPA!8/8号(8/1発売)

表紙の人/ 浅川梨奈×渡邉幸愛

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