関電幹部が「原発マネー」3億円をもらって、“被害者ヅラ”する裏側
10月2日、関西電力が会見を開き、八木誠会長と岩根茂樹社長を含む幹部20人が、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(故人)から3億2000万円に上る金品を受領していた問題で、その詳細を公表した。
「金品(の授受)につきましては、現金1億4501万円と、商品券6322万円、米ドル1705万円を合わせますと、およそ2億2000万円になります。その他物品については、金貨が368枚、金杯が8セット、金が500g、スーツが75着となっています。合計しますと約3億2000万円となります……」
会見の場で、岩根社長は社内報告書に記された数字を淡々と読み上げたが、過去に原子力事業本部長を務めた豊松秀己元副社長ら2人は、実に1億円を超える金品を授受していたことが明らかとなった。
森山氏から受け取った金品について「以前から返す努力をしてきた」と繰り返し釈明したが、今も、現金170万円、商品券297万円分、スーツ3020万円分が「未返却」のままだ。また、金品の返却が集中した’18年初めは、国税による税務調査が入ったタイミングと重なっており、疑惑は益々深まる一方と言えよう……。
問題の本質は、この巨額の「原発マネー」が特定の人物を中心に「還流」していた点だ。森山氏が顧問を務めていた高浜町の建設会社「吉田開発」など2社は、過去3年間におよそ113億円の原発関連工事を関電から受注していたが、昨年1月に行われた国税局による税務調査で、「吉田開発」から森山氏へ手数料名目で3億円が渡っていたことが発覚。
関電から森山氏に対して83件の情報提供があったことも明らかとなっており、吉田開発は5年間で売上高を6倍以上に伸ばしていたという。
関電は会見で、’11年に起きた福島第一原発事故後、原発の再稼働を進めるうえで金品の受け渡しがエスカレートしたと振り返ったが、なぜ、このような「還流」のシステムができたのか? ダグラス・グラマン事件やイトマン事件など、数々の経済事件を手掛けてきた弁護士の河合弘之氏が話す。
「正当な対価に上乗せされた『原発マネー』がジャブジャブと溢れるところには、フィクサーや黒幕と呼ばれる人物が必ず顔を出すもの……。フィクサーはどの建設業者に工事を受注させるかを取り仕切り、原発立地自治体への配慮という名目で、建設費は上乗せされていきます。ところが、電力会社は総括原価方式を採っており、予算が膨張しても電気料金で必ず回収できるので、工事代金を『水増し請求』されても値切る必要がない。
むしろ、気前よく発注できるわけです。超過利益のいく分かはフィクサーに回るわけですが、動いているカネが巨額の場合、フィクサーは保身のためにも“毒まんじゅう”をバラまき、共犯者を増やそうとする。毒まんじゅうを食らう電力会社幹部にとってもおいしい話ですから、地元建設会社への発注額は増えていく……。この悪しき循環が長年続いていたと見ていいでしょう」
3020万円の金品はいまだ未返納のまま
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