ホーガンの主演映画『ノー・ホールズ・バード』全米公開――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第91回
ハルク・ホーガンにとって初めての主演映画『ノー・ホールズ・バード』(邦題『ゴールデンボンバー』)が全米で劇場公開されたのは1989年6月のことだった。
映画のストーリーは、ホーガン演じるプロレスの世界チャンピオン“リップ”が愛する家族と恋人を守るために巨大ネットワークTVの悪徳プロデューサーと闘うというもので、プロットそのものはどちらかといえば子ども向けの単純明快な勧善懲悪アクションだったが、ホーガンがハーレーにまたがってフリーウェイを暴走したり、恋人とケンカをして目を潤ませるシーンがそれなりに話題になった。
作品クレジットにはビンス・マクマホンが製作プロデューサーとして名を連ね、前年1988年5月から約3カ月にわたっておこなわれた撮影の全日程に同行した。架空のテレビ局のプロデューサーを悪役とする設定を考え出したのはビンス自身で、そのモデルはライバル団体WCWのオーナーになったばかりの“テレビ王”テッド・ターナーではないかといわれた。
映画『ノー・ホールズ・バード』は全米公開から1週間で500万ドルの興行収益を上げてまずまずのすべり出しをみせたが、2週めからは観客動員が失速。ハリウッドの映画評論家たちはこの映画を「プロットもアクションもプロレス以下」、ホーガンの演技を「プロレスよりもひどい芝居」と酷評した。ビンスのなかの“ハリウッド・コンプレックス”はこの時代からずっとつづいている。
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