ホーガンの主演映画『ノー・ホールズ・バード』全米公開――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第91回
しかし、ビンスはビンスにしかできないハリウッドへのリベンジをすぐに実行に移した。それは映画『ノー・ホールズ・バード』の続編をプロレスのリングでプロデュースするという、ありそうでなかったコラボレーションだった。
『ノー・ホールズ・バード』の全米公開から6週間後、WWEはスクリーンのなかでホーガンのライバル役を演じたゼウス(タイニー・リスター)を実在のプロレスラーとしてリングに登場させた。俳優のT・リスターがじっさいにプロレスラーとして使いものになるかどうかはそれほど重要な問題ではなかった。
NBC特番“サタデーナイト・メインイベント”(1989年7月18日=マサチューセッツ州ウースター、ザ・セントラム)に出現したゼウスは、ランディ・サベージ対ブルータス・ビーフケーキのシングルマッチに乱入し、頚動脈クローでビーフケーキを失神させた。
“弟分”ビーフケーキの救援にかけつけたホーガンは、ゼウスの背中にイス攻撃をお見舞いしたが、ゼウスはその場に仁王立ちしてニヤリと笑った。実況&解説のビンスとジェシー・ベンチュラは、ゼウスを「6フィート10インチ(約2メートル8センチ)の怪物」と形容し、このドラマにほんのちょっとのリアリティーを持たせるため、ビンスは「映画の撮影中、ホーガンとこの男のあいだでトラブルがあった」と補足した。
NBC特番“サタデーナイト・メインイベント”(7月29日放映分)、“WWEスーパースターズ”、“プライムタイム・レスリング”の3番組がまとめて収録されたこの日のTVテーピングは、8月第1週から第3週放映分までのエピソードのタメ撮りだった。
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