ホーガンがまさかのヒール転向 nWo出現――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第230回(1996年編)
同夜のメインイベントは、ナッシュ&ホール&“X”対スティング&レックス・ルーガー&“マッチョマン”ランディ・サベージの6人タッグマッチ。アウトサイダーズの3人めのメンバーがついに明らかにされないまま試合がスタートした。
WCW正規軍の3人はおそろいの“スティング模様”のフェースペインティングをほどこしてリングに登場。このチームの主人公があくまでもスティングであることがそれとなく観客に伝わるような演出になっていた。あっと驚く大どんでん返しは試合開始から約20分後に起きた。
ホーガンが入場ランプに現れた瞬間、観客は“正義の味方”ホーガンがWCW正規軍の救援にかけつけたものと信じて疑わなかった。ところが、ホーガンはリングに上がると一瞬、にやりと笑い、ナッシュ、ホールと握手を交わし、返す刀でサベージに伝家の宝刀レッグドロップをお見舞いした。それから数秒間の沈黙のディレーをはさみ、アリーナのなかは大ブーイングに包まれた。
ホーガンがサベージをフォールの体勢にとらえると、ナッシュとホールは憎たらしい笑みを浮かべながらふたりで“1、2、3”とキャンバスをたたいてフォール・カウント。次の瞬間、リング内には飲みものが入ったままの紙コップ、ポップコーン、紙クズなどがいっせいに投げ込まれた。どうやら、ライブの観客はこの状況をすぐに把握したようだった。めったなことでは“本気”にならないアメリカの観客が怒りをあらわにした。
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