ホーガンがまさかのヒール転向 nWo出現――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第230回(1996年編)
それはまさに“青天のへきれき”といっていい大事件だった。WWE対WCW(ワールド・チャンピオンシップ・レスリング)の2大メジャー団体の闘いは、ハルク・ホーガンのまさかのヒール転向――物が飛び交い、観客の怒号が渦巻くリング――で大きなターニングポイントを迎えた。
WCWの7.7PPV“バッシュ・アット・ザ・ビーチ”(1996年7月7日=フロリダ州デイトナビーチ、ジ・オーシャン・センター=観衆8300人)のテーマは、“WWEからの刺客”ジ・アウトサイダーズことケビン・ナッシュ&スコット・ホールの同団体でのデビュー戦だった。
ナッシュは“元ディーゼル”で、ホールは“元レーザー・ラモン”。WWEが版権・著作権・知的財産権を保有しているこれらのキャラクターは、ナッシュとホールがWWEを退団した時点で法的には“商品”そのものが消滅した。WCWはこのふたりのために新リングネームを用意するものとみられていたが、結果的にナッシュとホールはこの日、それぞれ本名のまま試合に出場。アウトサイダーズ(よそ者)というフレーズだけがそのままタッグチームの正式名称として残された。
リングネームが変わっても基本的なキャラクター設定はディーゼルとレーザー・ラモンのままで、マイナーチェンジされたリングコスチュームのデザインもWWE在籍時代の基本的なイメージをキープしたものだったため、やはりほとんどの観客はふたりをWWEスーパースターととらえていた。
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ