スポーツ

ビンス・マクマホン発案のAOWってなに?――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第232回(1996年編)

 ビンスがプロデュースしようとしたAOW路線とは①性的描写と成人言語を含むR指定のプロレスと②ECWスタイルとカテゴライズされつつあった“暴力指数”の高いプロレスの併用。もっとわかりやすくいえば、ハルク・ホーガンを主役とするWCWのプロレスとは正反対に位置するコンセプトということになる。  “性倒錯キャラ”ゴールダスト&マレーネ、“ワイルド・マン”マーク・メロ(WCW在籍時のリングネームはジョニー・B・バッド)&セイブルの夫婦コンビ、かわいくて憎たらしいサニーらはいわゆるAOW要員で、セクシー系の女性マネジャーの起用はDIVAというコンセプトがまだなかった時代のDIVAの商品化だった。  入場テーマ曲にホラー映画『サイコ』のサントラのサンプリングを使っていたサイコ・セッドと“人間失格キャラ”マンカインド(ミック・フォーリー)は明らかにAOWグループ。大ブレイクする直前の“ストーンコールド”スティーブ・オースチン、“貴族の末えい”を称するハンター・ハースト・ヘルムスリー(トリプルH)、“時限爆弾”ブライアン・ピルマンらもどちらかといえばAOW的テイストのキャラクターといってよかった。  WWEは9月からの新シーズンに“中近東の王子”サルタン(のちのリキシ)、“密猟者”ザ・ストーカー(バリー・ウィンダム)、“執行猶予男”クラッシュ(ブライアン・アダムス)、“選ばれし黒人”ファルーク(ロン・シモンズ)といった新キャラクターを大挙デビューさせた。このなかのいくつかはヒット商品となり、またいくつかは“在庫”となって“廃盤”にされた。
次のページ right-delta
新しい登場人物たちが“マンデーナイト・ロウ”に現れた要因
1
2
3
おすすめ記事