永田裕志の“WCWマンデー・ナイトロ”時代――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第267回(1997年編)
永田は太りやすい体質なんだという。体重を増やしたい日本人レスラーにとっては、アメリカは理想的な環境といっていいかもしれない。ごくふつうに食事をしているだけで1日あたり1万カロリーくらいはかんたんに胃のなかに入ってしまう。永田は、食べるのも仕事と本気で考えている。日本に帰ってトップグループに割って入るには、やっぱりヘビー級の体がほしい。
「痛いんですよ。ボコボコ蹴るから」
ウルティモ・ドラゴンも、やっぱりバックステージをほっつき歩いていた。同じジャパニーズ・レスラーでも、永田とウルティモは“ベンチ”での座り位置が異なる。ウルティモはあくまでもルチャリブレ・グループの4番バッターで、永田はまだギミックを持たないヤングボーイ。
それでも、フロリダ州オーランドのスタジオで収録されるTVマッチのタメ撮りではシングルマッチでぶつかることもある。どちらかというと、先輩のウルティモのほうが気をつかっている。
「100人いますからねえ」
永田はまた鼻の穴をふくらませた。それがメジャーリーグの景色というものなのだろう。ハルク・ホーガンとリック・フレアーがいちばん上でがんばっていて、WCW正規軍があって、nWo派閥がある。世界ヘビー級王座、USヘビー級王座、世界タッグ王座、TV王座をめぐる闘いがあって、クルーザー級部門、ルチャリブレ部門がある。
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