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ブライアン・ピルマン“ルース・キャノン=制御不能”と呼ばれた男――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第269回(1997年編)

WWEオフィシャル・マガジン表紙

ブライアン・ピルマンはWWEとWCWの“月曜TVウォーズ”の時代、両メジャー団体の“心臓部”を横断したひじょうに特異なキャラクター。WWEではブレット派閥“ハート・ファウンデーション”に合流した(写真はWWEオフィシャル・マガジン表紙より)

 ニックネームは“ルース・キャノンLoose Cannon”。直訳すると、鎖につながれていない砲弾または大砲。“ルース”は自由な、解き放たれた、鎖につながれていない、制止のきかない状態。“キャノン”はキャノン・ボールのキャノン。いつどこで大爆発を起こしてもおかしくない危険な砲弾のイメージである。

 アメリカ英語のイディオム(慣用表現・熟語)としては、行動が予測不可能な人、コントロールがきかない人、制御ができない危険人物、なにをしでかすかわからない人、信用できない人、といった意味がある。

 ブライアン・ピルマンは、ある朝、ミネソタ州ブルミントンの安モーテルのベッドの上で、だれにも告げず、たぶん自分でもそうとは気づかずに永遠の眠りについた。

 帰らぬ人となったピルマンがホテルのスタッフによって発見されたのは、日曜の午後1時9分だった(1997年10月5日)。レスラー仲間の何人かが最後にピルマンの姿をホテルのロビーでみかけたのは、その前夜の午後10時45分ごろ。

 それまでバー・ラウンジでビールを飲んでいたピルマンは、その場にいっしょにいた人たちからの食事の誘いをやんわりと断り、そのまま自室に戻ったのだという。

 “ルース・キャノン”は営業用のギミックではなかった。ピルマンは、リングのなかにいるときも、そうでないときもルース・キャノンそのものだった。敵をあざむくにはまず味方から、ではないだろうけれど、いつでもどこでもブチッと切れそうな状態がノーマル・モードになっていた。もちろん、ほんとうのほんとうのところはどうだったのかはいまとなってはだれにもわからない。

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成人になってからプロレスとめぐり逢った“後天的プロレス人”

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