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松方弘樹の最後の訴えは届くのか?「マグロを守ってくれ…」

クロマグロが食べられなくなる日が迫っている!?

マグロ

産卵マグロ群を一網打尽にする巻網漁は鳥取県境港が拠点。乱獲で水揚げされた母親マグロは市場価値が低い

 では、松方氏が問題視していた「巻き網漁」とは何か。水産資源問題に詳しい勝川俊雄・東京海洋大学教授は、こう話す。 「今から12年前の’04年から巻き網船は最新鋭の魚群探知機を使って、夏場に産卵で海面近くに上がってくるマグロの魚群を待ち構え、一網打尽にする漁法を日本海で始めました。その結果、それまであまり獲られることがなかった産卵期のマグロが大量に獲られることになったのです」  巻き網漁は、1000m以上の網を広げ、その中の魚を種類や大きさにかまわず、一網打尽にする乱獲漁法だ。水産資源に優しくない漁法の代表的手法である。もともと巻き網船はアジやサバやイワシを主に獲っていたが、これらの魚種が乱獲で減少してきたため、マグロやブリなどの他の魚まで獲るようになったのだ。  今年も1800tのマグロが一網打尽にされている。結果、マグロ全体の数は激減してしまっている。  今年4月、ISC(北太平洋クロマグロ類国際科学委員会)が最新のクロマグロの資源評価を発表した。  ’14年の親魚資源量は1万6557tで、漁をしなかった時代の「初期資源量」の2.6%しか残っていないことが判明したのだ。  これは「クロマグロ枯渇」もありうる事態で、このままでは絶滅危惧種の国際取引を制限する「ワシントン条約締約国際会議」(’16年に開催予定)で輸出入の規制対象種に加えられる可能性は高い。そうなれば、クロマグロが食べられなくなる日が訪れても不思議ではないのだ。

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早く手を打たなければ、もう時間がない!

 最後に’09年のインタビュー時に語った松方氏のコメントで締めくくりたい。  「漁業者による見境のない乱獲は、自分で自分の首を絞めているようなもの。早く手を打たないと、取り返しのつかないことになる。もう時間はありません。いったん失われた漁業資源は、もう元には戻らないからです。  漁民と釣り人は、海の守り人。水産庁はきちんとしたルールを作って、漁師や僕ら釣り人はそれを守る。四方を海に囲まれているのに、ここ最近の日本人は持続可能な漁業を忘れてきました。ちゃんと管理された漁業をやっていけば、魚はどんどん戻ってくる。釣り人も来るし、漁師の後継者もできる。そうすれば、日本の漁業は成長産業になると思いますよ」 取材・文/横田 一
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