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松方弘樹の豪快伝説「ステーキ屋に2000万円」から読む飲食代の見栄【コラムニスト木村和久】

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その153 ―  最近亡くなられた松方弘樹さんの豪快伝説は、5人でステーキを食べて2000万円の勘定を払ったというものだ。この値段の付け方がまず尋常じゃない。その値段を提示する店側もスゴいが、それを一人で払う松方さんも「男気が半端ないな」と改めて感心した次第だ。  さてと、料金の仕組みはどうなっているのか。ポイントは老舗ステーキ店は結構高いということだ。加えて、アルコール代がバカにならないから驚きである。  まずステーキ代の相場である。松方さんは、関西のステーキ屋だったが、銀座界隈じゃ最低3万円からのステーキ店がザラにありますから。通常で5万~8万円ぐらいのステーキ代で、これに高級ワインを飲み、一人軽く10万円オーバーが普通のディナー価格になっている。いやはやなんとも。とにかく銀座界隈のステーキ屋は、ファミレスの100倍ぐらいする。しかも、肉が旨いからお代わりして、料金もどんどん上がっていく。  料理単体だけで考えれば、一番値が張るのは関西系の懐石料理とも言われている。それでも6万~8万円ぐらい。ほかフランス料理も高いというけど、せいぜい3万~4万円でしょ。じゃあ、どうやったら2000万円になるのか?  その答えはワイン代である。「一番高いワイン」と言われているロマネコンティは、銀座の高級クラブ価格では1本100万円が相場。だから「1ロマネ=100万円」という貨幣単位が存在している。松方さんの場合は、ロマネコンティのヴィンテージものをばんばん空けたから2000万円になった。銀座の高級クラブでは一人で20ロマネ飲んだお客さんもいるし、毎回5ロマネ飲むお客さんもいて、さすがその人はしばらくしたら飛んだけど。そういうときは、もちろんみんなに振る舞うわけで、まさに松方弘樹越えですね。  このロマネコンティのヴィンテージものは数百万円もして、一生に一度は飲みたいワインとなっている。1年間の出荷本数は7000本程度。そのうち何本が日本に回ってくることやら。何しろ空き瓶すら高値で取引されるって噂ですから。それ使って、悪いことしちゃダメですよ。  お酒の値段はキリがないです。キャバクラのシャンパン代が通常の白で4万~8万円。これがピンクだと10万~13万円。ブランディーもよく言われるのが、レミー・マルタンのルイ13世が35万~40万円ぐらいか。  だいたい原価は3分の1ぐらいだから、家で買ってガールフレンドを脇にはべらせて飲めば、いいではないか。そう考えるのは、あくまで男の発想だ。つまり、男はお金があるなら飲みたいわけで、借金をしてまで飲もうとは思わない。松方さんも、当時は現金で払ったそうだし。
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ところが、女性はお金がなくても見栄を張ってしまう
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