國村隼「ルーティンの中にいるほうが確かだけど、こと映画になると好奇心が勝つ」
『チェイサー』『哀しき獣』などの鬼才、ナ・ホンジン監督が放つ異色作『哭声/コクソン』。とある田舎の村に、ひとりのよそ者が現れ、時を同じくして猟奇殺人事件が頻発していく……。人々の疑心暗鬼を呼ぶこの“山の中の男”役で圧巻の演技を見せているのが國村隼だ。ふんどし姿で山中のシカを食らい、崖から落ち、アスファルトで雨に打たれるという肉体的にもハードな役ながら、「観たことのない映画ができる」と出演を決めた國村に単独インタビュー。作品のことはもとより、韓国映画に初出演するなど、前進し続ける國村から、読者に向けてメッセージをもらった。
――國村さんの存在感がなければ成立しない作品でした!
國村:ありがとうございます。そんなに褒めてもらったら、どうしよう(笑)。
――しかしよそ者である“山の中の男”の存在感がないと成立しません。オファーを受けたときの口説き文句を教えてください。
國村:確かに作品の構造が成り立たないですからね。口説きというか、このキャラクターは、村人ははじめは日本人、日本人と言っているけれど、もはや人間かも分からない存在。だから、いろんな風に見えたいと。それは映画を観ているお客さんにも。監督が、そんなキャラクターを日本の俳優を前提にして考えたとき、僕の出演作をいくつか観て、この人ならと思ったと言っていました。ある作品ではものすごく善良な人だったのが、あるときはとんでもない極悪人。ふり幅と、たぶんこの見た目で、オファーをくれたんじゃないかと思います。
――実際にお会いしてもとても声がステキです。全く國村さんのことを知らない韓国の観客には、声がソフトだというのも余計に怖く思えたのではないでしょうか。
國村:なるほど、それは意識していなかったですね。確かに韓国のお客さんにとって見たら、いままで観たことのないキャラだったかもしれないですね。
――ナゾに満ちた役柄で、役作りが難しかったのでは?
國村:実は、脚本の段階では、完成した映画の終わり方とは違っていて、私の演じたあの男と、祈祷師と、目撃者の女の3人の関係性がもっと出たものになっていました。それが完成形ではああなった。3人の関係性に帰結していたものが、余計に作品世界の整合性というか、分かりやすさをなくしたことで、父親と娘の物語が残った。僕もエンディングとしては、今のほうがベストだと思いますね。
脚本の段階ではラストが違った!
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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配給:クロックワークス
(C) 2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION
オフィシャルサイトhttp://kokuson.com/
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